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再会


『えっ?
市原さんって29歳なんですか?!』

ある日の休憩中
事務所で市原さんとの会話で年齢の話題になった。

「そうよ~、なんで?」

『だって…同じくらいなのにしっかりしてるなぁって…ずっと思ってて』

そう、私は市原さんを同じ年だと勝手に思い込んでいた。
見た目からして同じくらいなんだろうなって。

だから私より年上だって聞いてビックリしたんだ。

毎日お弁当も持参しているし
どう見てもアレは手作りだ。

私なんかいつも近くのコンビニに走って買いに行くのに。

もちろん今日もカップラーメンとおにぎりのコンビ。

最近はこれも定番になってきている。

おにぎりの具を変えたり
カップラーメンのメーカーを変えたりはしているけれど
一番安上がりな方法となると
どうしてもこのコンビにしかならない。

色気も何もない。

『じゃあ私と一番年が近いのは市原さんなんですよね?』

営業所の社員さんは
基本的にちょっと年配の人が多い。

顔と名前がすぐに一致するようになったのも
年配の方だから…という変な理由だった。

逆に若い子だと覚えづらい。

最近の同年代はみんな同じような顔に見えてしまう。

なんて言いつつもそんなに男性に縁があるわけでもない。

経験も人並み程度だけど
ただここ半年、それまで1年付き合っていた彼と別れてしまってからは
たまに呼ばれる飲み会でも顔と名前がなかなか一致しない。

「う~ん…所長~っ!
所長いくつでしたっけ?」

更新日:2009-01-08 23:58:31

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