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いつもの場所へ


ありがとうも言わずに
無言でグラスを受け取り一気飲みする。

あぁ…でもやっと落ち着いた感じ。

それまでピンと張っていた神経が
緩んでいくのが自分でも分かる。

『はぁ……』

気が緩んだと同時に
大きなため息が零れる。

「疲れてんな~、顔に若さがねぇよ」

私の隣に野上くんが座って
デスクに片肘をついた。

私を見てニヤニヤ笑っている。

…何がおかしいんだっ!

私はグラスを野上くんに突き出して

『おかわりっ!』

とぶすっとしたまま乱暴に言った。

「はいはい…あ~あ、これだからワガママ女は…」

『誰がワガママよっ!変態!!』

呆れたように笑い
グラスを私から受け取って立ち上がった野上くんの背中に
膨れっ面で言葉をぶつけた。

あ~あ…って言いたいのは私なのに。

所長がいるかもって期待していたんだけどな。

なんで野上くんなの?しかも裸で!!

期待を裏切られたも通り越して
最悪としか思えないっての。


更新日:2009-05-11 13:47:11

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