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サッカー大戦

 不思議な風が吹く街、風都。小さくもなく、大きくもない街。
でも1つの街としてはきちんと機能している。
交通施設も整っているし、ショッピングセンターだってある、それに昔ながらの商店街も。
もちろん学校だってたくさんある。特にこの街には私立高校が多い。

 私が今通っているのも私立高校。名は、雷堂学園。
その雷堂学園、生徒達が新しい学年に進学したと共に、ある一人の転校生がやってきた。
「門矢士。宜しく」
フラッと学校に現われてその男、未だにどこから来たのか何をしたいのか何も話さない。
「士君、何をしているんですか~?」
「………」
話しかけてもまともに返してくれない、いつも首から下げてるカメラで何かを撮っている。
本当に謎めいたヤツ。

 そんな士君の世話を、私は任されている。

「それじゃあ学級委員、転校生の門矢君は分からない事があるだろうからしばらく任せてもいいかな?」

私、光夏海が。


「士君!」
放課後の中庭、怒り口調のような声で少女光夏海は士の名を呼ぶ。
目の前にいたのは、あらゆるものにカメラを向ける一人の男子生徒の姿が。
彼が門矢士、夏海の言葉に聞く耳を持たず一人黙々と花壇の写真を撮り続けている。
「士君、聞いているんですか!?」
「あぁ、大体はな」
目をあわさず、適当に受け答えをする士に夏海の苛立ちも次第に高まっていく。

 そんな夏海は右手の親指を突き立てては、士に向ける。
当然、写真を撮る事に夢中な士にはこれが見えない。
「士君。光家秘伝、笑いのツボ!」
そう言って、士の首横を親指で刺す。
刺された瞬間、士の顔は一瞬何かを堪えるようなものになったが次第に柔らかくなっていき、声を上げて笑いだした。

更新日:2010-08-29 22:37:02

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