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Ⅳ 決戦

グルタス将軍率いる政府軍とレジスタンスの市街戦の火蓋が切って落とされた。
そのほぼ同時刻、ヨーコは総統官邸の建物の前に立っていた。
総階数25階の、この辺りでは最も高いビルだった。
暗殺を常に恐れている独裁者は、街にこれ以上の高さの建造物を建てることを一切禁止していたのだった。
入り口を護る守衛たちが、ヨーコに銃口を向ける。次の瞬間、一斉射撃が始まった。
しかし、ヨーコは物凄いスピードで駆け出すと、守衛たちのすぐ目の前に現れる。両手に握られた短機関銃で、次々に彼らを狙い撃った。
やがて、辺りは静かになった。
「……」
柱の影から、おずおずと出て来たのは、アキトだった。
アキトはいつでもヨーコを援護できるようにしていた。
旅の途中、アキトがしつこく教えを請うと、しぶしぶながらもヨーコは銃の撃ち方、戦い方を教えてくれた。
でも、戦っている最中のヨーコに近付くのは、逆に危険だということも、経験上分かっている。動くモノは、反射的に何でも撃つからだ。
だけど本当は、彼女を援護なんて、カッコイイものじゃない。せめて、彼女の足手まといにならないようにするのが精一杯なのだと、アキト自身も分かっている。
ヨーコはそのまま真正面の入り口から、ビルの中に入った。その後を、アキトが続く。
建物の中にも、警護の兵士たちが大勢待ち構えていたが、ヨーコは容赦なく彼らを倒していった。
やがて二人は最上階にある、総統の執務室の扉の前まで辿り着いた。
不意に、その扉が自動的に開く。
「待っていたぞ、意外と早かったな」
部屋のど真ん中、真正面で赤毛の青年が立ちはだかっていた。
「マーズⅢ(サード)……」
ヨーコは呟くように、
「ワタシの任務は、裏切りモノのアンドロイドの破壊と独裁者ロメルの暗殺」
「オマエと同タイプの前の奴も、確か、そんなことを言っていたぜ」
相手はニヤリと、不敵な笑みを浮かべた。

更新日:2011-01-01 12:03:49

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