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三人のお姫様とさびしい幽霊 6

 お城の奥まった一室。ここは、あ~姫の部屋です。
 塔の中で気を失ってから、丸一昼夜。あ~姫はこんこんと眠り続けていました。

 寝台の傍らに、かしゆか姫、のっち姫、そしてお妃様が心配そうに見守っています。
 そこへ、王様がやってきました。

「どうだ、あ~姫は目ざめたか」おろおろと、王様が言いました。「こんなことになるなら、可愛いお前達を危険な目にあわせるのではなかった」
「お父様、何も危険な事などありませんでしたよ」かしゆか姫が、なだめます。
「陛下、落ち着いて下さいまし。医者は大丈夫だと申しておりました」お妃様が、静かに、しかしキッパリと言うと、王様は椅子に腰掛け、頷きました。
「そうか、ならよい」

「お姉様……」
 のっち姫が、あ~姫の手を取り、話しかけます。
「どうかお目覚め下さい。神様、お願いします。お姉様をお助け下さい」のっち姫は、心配のあまりに涙ぐんでいました。「お姉様をお助け下さいましたら、私は何でも言う事を聞きます」
「それでは、舞踏会に出なさい」
「はいっ! 舞踏会でも忘年会でも、なんだって……ほえっ?」のっち姫が驚いて顔をあげました。
 そこには、にっこり笑ったあ~姫の顔がありました。
「約束しましたよ」そう言うと、あ~姫は可愛らしいあくびをして、辺りを見回しました。「ああ、よく寝たこと。おや、皆様お揃いでどうしました?」

 抱いたり涙を流したり、大騒ぎがしばらく続き、国王陛下とお妃様が部屋を出て、やっと落ち着いてから、かしゆか姫が尋ねました。
「それで? お姉様。種明かしをして下さいな」
「種明かし、ですか? 相変わらず、かしゆか姫は賢いですね」そう言って、傍らのサイドボードから、一冊の羊皮紙の本を取り出しました。「これが、種です」
「お姉様、大丈夫ですか? これは種ではありません、本です」のっち姫が目を大きく見開いて、言いました。
「あなたは黙ってなさい。これが、お姉様の霊媒術の、手品の種なのでしょう? 早くお聞かせ下さい。ウズウズして、待ちきれません」かしゆか姫が、地団駄を踏んで催促しました。

更新日:2010-05-28 21:13:51

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