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男は、そんな反抗期万歳なカレンダーをいっそ捨ててやれと、外そうとしたのだが、『誰がはがされるかばかやろうこのやろう』とばかりに、壁に引っ付いて離れない。
男は仕方なく26日をもう一度過ごす羽目になってしまったのだった。
ま、自分が覚えていればいい話だ。今日は『27日』だという事を。と、気を取り直して部屋をでる。
そして、違和感はすぐに襲ってきた。
それは、朝食の会話のとき、母親や父親の会話にとんでもない既視感を感じたのだ。
「あれ? これって昨日も聞いたような・・・」
そう思ったのだが、口に出すことはしなかった。それはどうにも気味の悪い既視感だったからだ。
それからも、行く先々で同じ様な既視感を感じ、その日はどこか生きている実感が湧かなかった。
どうなっているんだ? と、考えつつも、夕食を食べ部屋に戻ったとき、その答えを発見する。
「やっぱり、このカレンダー何かあるような・・・」
そう思い、どうしても、何があってもはがして捨ててやる、と意気込んでカレンダーの抹殺に取り組んだのだが。
『しつこいなこのやろう』とばかりに、頑として壁を離れるつもりはないらしかった。しつこいのはどっちだよばか野郎。と悪態をつくが、ただの独り言に終わってしまった。
男は仕方なく、また不毛な考えのまま床に就き、また新たな朝を迎える。

朝起きて、やはり最初に目が行くのはあの図々しくも壁にかけられているカレンダーだった。
どこか昨日より威張り散らしているように見えるのは、やはり気のせいだった。
男は、床を出て真っ先にカレンダーの前まで進み、不意打ちするかのような素早い挙動で日めくりカレンダーの紙を一枚破いた。いや、むしろ完全に不意打ちだった。
しかし、その不意打ちは功を奏したのか、昨日何度試してもどうする事も出来なかったカレンダーが、遂に破れたのだ。
男は僥倖とばかりに目を輝かせ、その日付を確認する。
『26日だばーか』
と言われた気がする・・・。
「おいおい・・・、どうなってんだよ? どうなってんだよ一体?!」
やはり、26日をめくった後も26日だった・・・。

そして、仕方なく男はまた『26日』を過ごす羽目になるのだが、その日はどこに行っても昨日より強い既視感に囚われるのだった・・・。

そして、また翌朝。
「おりゃぁ!!!」
気合と共にカレンダーを破る男。しかし現れた数字は26日だった。
『べー』
何かおちょくられているような気がしたが、やはり気のせいだった。
そして男はまた―。

更新日:2010-05-24 00:07:03

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お題小説『夜 カレンダー 机』