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夜 カレンダー 机
人は、どうして特別を望むのか? いきなりすぎる極論に視野が狭く写っているとは知らず、男は続ける。
特別という事は、他人とは違ったものを持っている。つまり人は人より優位に立ちたいのではないか? 勿論、普通、変わらないことを願う人もいるだろう。と、ここで極論から視野を広げて考えを横から無理矢理にねじ込む。
男は夜が嫌いだった。
夜になれば毎度、このように答えの無い不毛な自問自答が頭の中に降りてきては、行き場の無いまま消滅していき、知らない間に眠りに就いて朝を迎える。
男は夜になるとこんなルーチンワークが出来上がってしまっていることに、苛立ちを覚えているのだ。
しかも、このルーチンワークが出来上がってしまったのは、つい最近になっての事。
今は、9月のもう26日だ。今やどの家庭でもなかなか見ることの出来ない日めくりカレンダーを眺めて、男は溜息一つ。
9月に突入した初日、つまり1日の段階から、男は夜になるとこのような思考に脳を支配される毎日を送っていた。
今までは、そんな事は一切無かったのだ。
夕方に帰宅して、晩御飯を食べ、その後は気の向くままに過ごしてきていた。友達と遊んだり、映画を見たり、音楽を聴いたりしながら、朝になるのが勿体無いくらい、夜の時間が好きだった筈なのに。
どうしてしまったんだ、俺は。と、男は俯きながら呟くのだった。
翌朝、いつものように不毛な考えに支配され、知らぬ間に眠りに就いていた俺は、日課である日めくりカレンダーを一枚めくる。日課にしないと、いろいろ機能しないからな、このカレンダーは。と心の中で悪態をつきながら、慣れた手つきでカレンダーを一枚引きちぎる。
しかし、カレンダーは『いつものように』日付を一日ずらすという行為を拒否するかのごとく、ありえない光景を男に見せるのだった。
「え・・・?」
つい男は声をあげてしまった。
昨日は26日、つまり一枚めくれば27日が表示されるはずだったのに・・・。男は今一体何枚めくったかと手に持った紙を確認するのだが、やはり一枚だった。そう、確かに『一枚』めくったはずなのに、カレンダーが示した日付は『26日』なのだった。
「・・・不良品か?」
男がそう思うのも無理はない。と、いうよりも誰だって思うだろう。男は確認するために次のページを覗き込もうとカレンダーに手をかけた。
が、カレンダーは何か強大な力でもかけられているのかのように、次のページをめくる事すら拒否してきたのだ。
簡単に言えば、『めくれない』。
どこにどう力を入れようが、そのカレンダーはめくれず、男がその真偽を確かめる事は出来なかった。
特別という事は、他人とは違ったものを持っている。つまり人は人より優位に立ちたいのではないか? 勿論、普通、変わらないことを願う人もいるだろう。と、ここで極論から視野を広げて考えを横から無理矢理にねじ込む。
男は夜が嫌いだった。
夜になれば毎度、このように答えの無い不毛な自問自答が頭の中に降りてきては、行き場の無いまま消滅していき、知らない間に眠りに就いて朝を迎える。
男は夜になるとこんなルーチンワークが出来上がってしまっていることに、苛立ちを覚えているのだ。
しかも、このルーチンワークが出来上がってしまったのは、つい最近になっての事。
今は、9月のもう26日だ。今やどの家庭でもなかなか見ることの出来ない日めくりカレンダーを眺めて、男は溜息一つ。
9月に突入した初日、つまり1日の段階から、男は夜になるとこのような思考に脳を支配される毎日を送っていた。
今までは、そんな事は一切無かったのだ。
夕方に帰宅して、晩御飯を食べ、その後は気の向くままに過ごしてきていた。友達と遊んだり、映画を見たり、音楽を聴いたりしながら、朝になるのが勿体無いくらい、夜の時間が好きだった筈なのに。
どうしてしまったんだ、俺は。と、男は俯きながら呟くのだった。
翌朝、いつものように不毛な考えに支配され、知らぬ間に眠りに就いていた俺は、日課である日めくりカレンダーを一枚めくる。日課にしないと、いろいろ機能しないからな、このカレンダーは。と心の中で悪態をつきながら、慣れた手つきでカレンダーを一枚引きちぎる。
しかし、カレンダーは『いつものように』日付を一日ずらすという行為を拒否するかのごとく、ありえない光景を男に見せるのだった。
「え・・・?」
つい男は声をあげてしまった。
昨日は26日、つまり一枚めくれば27日が表示されるはずだったのに・・・。男は今一体何枚めくったかと手に持った紙を確認するのだが、やはり一枚だった。そう、確かに『一枚』めくったはずなのに、カレンダーが示した日付は『26日』なのだった。
「・・・不良品か?」
男がそう思うのも無理はない。と、いうよりも誰だって思うだろう。男は確認するために次のページを覗き込もうとカレンダーに手をかけた。
が、カレンダーは何か強大な力でもかけられているのかのように、次のページをめくる事すら拒否してきたのだ。
簡単に言えば、『めくれない』。
どこにどう力を入れようが、そのカレンダーはめくれず、男がその真偽を確かめる事は出来なかった。
更新日:2010-05-24 00:06:29