- 9 / 30 ページ
そよ風のララさん
午後の陽が少しかたむいたころ、そよ風のララさんがやって来て、
やさしい歌を歌ってくれます。
そこで、トミーはすやすやおひるねです。
トミーぼうやの、やわらかな、わたげのようなかみをゆらしながら、
低く歌を口ずさんでいるララさんに、オコチカバーはたずねました。
「ねえ、ララさん、その歌はどこでおぼえたの?」
「これはね、山の向こうの谷間に、一年中お花の咲く原っぱがあってね、
そこに住む花の精たちが歌っていたのよ。
この歌が、楽しい夢の世界へと連れて行ってくれるのよ」
「ララさんは他にもたくさんの歌を知っているんでしょう?」
「知っていますよ。
木の葉の上であそぶ、光の精の歌。
ちょうちょたちが、花のみつをすいながら、花から花へと飛びまわる時に歌う歌。
ゆうぐれにみんなが眠りにつくために、紫色のうすがすみが口ずさむこもり歌。
それから、波に遊ぶ月光の歌や、夜空で星の子供たちがきらめきながら歌う歌。
みんなが私に教えてくれたのよ」
「どんな歌でもララさんが歌うと、とてもいい気分になるよ」
「そういえばね、ララさん。
この間、ものすごくらんぼうな風がやって来てね、まどをがたがたゆらして、
私たちをこわがらせたのよ。
ララさん、その風のことを知っている?」
「知っているわ。
私のなかまはたくさんいるのよ。
北風さんは冷たくて、あまり近寄りたくないし、
春風さんは、気はいいんだけれど、気まぐれで、時々びゅうびゅう吹いて、いたずらするの。
それから、あらしの時に吹くのはあばれんぼうの大風さん。
きっとそのらんぼうな風は<春いちばん>という南風だったんだと思うわ。
でも、ということは、もう春がそこまで来ているのよ。
私はすずかぜさんとはとても仲良しよ。
夏の暑い日の夕方から、すずかぜさんはやって来て、暑さを吹きとばしてくれるの。
あなたたちも知っているでしょう」
「ぼくはやっぱり、ララさんが一番好きだな。
だって、とてもやさしいんだもの」
「あら、オコチカバーちゃん、ありがとう。
私はみんなを良い気分にするのが大好きなの」
やさしい歌を歌ってくれます。
そこで、トミーはすやすやおひるねです。
トミーぼうやの、やわらかな、わたげのようなかみをゆらしながら、
低く歌を口ずさんでいるララさんに、オコチカバーはたずねました。
「ねえ、ララさん、その歌はどこでおぼえたの?」
「これはね、山の向こうの谷間に、一年中お花の咲く原っぱがあってね、
そこに住む花の精たちが歌っていたのよ。
この歌が、楽しい夢の世界へと連れて行ってくれるのよ」
「ララさんは他にもたくさんの歌を知っているんでしょう?」
「知っていますよ。
木の葉の上であそぶ、光の精の歌。
ちょうちょたちが、花のみつをすいながら、花から花へと飛びまわる時に歌う歌。
ゆうぐれにみんなが眠りにつくために、紫色のうすがすみが口ずさむこもり歌。
それから、波に遊ぶ月光の歌や、夜空で星の子供たちがきらめきながら歌う歌。
みんなが私に教えてくれたのよ」
「どんな歌でもララさんが歌うと、とてもいい気分になるよ」
「そういえばね、ララさん。
この間、ものすごくらんぼうな風がやって来てね、まどをがたがたゆらして、
私たちをこわがらせたのよ。
ララさん、その風のことを知っている?」
「知っているわ。
私のなかまはたくさんいるのよ。
北風さんは冷たくて、あまり近寄りたくないし、
春風さんは、気はいいんだけれど、気まぐれで、時々びゅうびゅう吹いて、いたずらするの。
それから、あらしの時に吹くのはあばれんぼうの大風さん。
きっとそのらんぼうな風は<春いちばん>という南風だったんだと思うわ。
でも、ということは、もう春がそこまで来ているのよ。
私はすずかぜさんとはとても仲良しよ。
夏の暑い日の夕方から、すずかぜさんはやって来て、暑さを吹きとばしてくれるの。
あなたたちも知っているでしょう」
「ぼくはやっぱり、ララさんが一番好きだな。
だって、とてもやさしいんだもの」
「あら、オコチカバーちゃん、ありがとう。
私はみんなを良い気分にするのが大好きなの」
更新日:2011-02-23 20:51:09