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赤ちゃんの名前は?

挿絵 275*225

空が明るくなったころ、ミモマムはだれかがしゃべっている声で目がさめました。

「いったいだれ?
ぶつぶつとしゃべりつずけているのは?」

「ぼくだよ、赤ちゃんさ」

「まあ、何をしゃべっているの?」

「ぼく、おなかがすいて目がさめたんだけれど、だれもぼくに気がついてくれないで、
みんなねむっているんだもの。
だからぶつぶつとぐちをこぼしていたんだ」

「あら、おなかがすいたら泣いてお母さんをおこさなくちゃだめよ」

「泣くだって?ぼくどうやって泣くのかわからないよ」

「大きくいきをすって、はくときに声をだすのよ。
やってみてこらんなさい」

赤ちゃんは言われたとおり、やってみましたが、声が出ません。

「できないよ、いきがはーっと出ていってしまうだけで、声にならないよ」

「あなたは生まれたとき、大きな声で泣いたじゃないの。
あのようりょうでやるのよ」

「あのときはいきがつけなくて、むがむちゅうだったからできたけれど、
どうやってやったのかおぼえてないよ」

「はくときにのどをつかうのよ。
あーってね」

赤ちゃんは何度もやってみました。
するとすこしずつですが、声が出るようになって、ついに大きな声で泣くことができました。

「あーあーあーあー」

それをきくとママは目をさまして、赤ちゃんをやさしくだいてくれました。
パパも、となりの部屋からとんできて、赤ちゃんのあたまをそっとなでてくれました。

「あーあー、おなかがすいているんだよ」

「はいはい、今、おちちをあげますよ」

赤ちゃんはママのおっぱいを口にふくみましたが、すうことができません。

「お口をちゅっちゅっとやって、おっぱいをのむのよ」

ミモマムはおしえてあげました。

「こうかい?なかなかむずかしいな。
赤ちゃんというのも、なにかとたいへんなものだな」

おっぱいが口から、だいぶこぼれてしまいましたが、でも、なんとかのむことができました。

「それもだんだんに、うまくできるようになるわよ。
どう、おいしい?」

「たいしておいしくないね。
ぼく、おっぱいって、もっとあまいものかと思っていたよ」

「あなたのように、生まれたての赤ちゃんには、いろいろな味は体に良くないのよ。
もんく言わずに、のみなさい。
のめばのむだけ、大きくなれるんだから」

「うん、これでとにかく、おなかはふくれるからね。
じょうずにのめるように練習するよ」

おなかいっぱいになって、ちくびをはなした赤ちゃんを、
ママはかたにのせかけて、静かに赤ちゃんの背をなでました。
すると、赤ちゃんは大きなげっぷをしました。

「おっと、しつれい」

「あら、気にしなくていいのよ。
どの赤ちゃんもおちちを飲んだ後は、大きなげっぷをしなくちゃいけないの」

更新日:2010-06-16 14:10:53

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