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みの虫みのきち

木の葉を散らす仕事を終えて、ララさんは秋の終わりに南の国へと行ってしまいました。

すると北風がやって来て寒い季節となりました。
みんなおうちにとじこもっています。
まどガラスごしに外を見ていたトミーはオコチカバーに聞きました。

「北風さんはなぜララさんみたいにぼくたちの所へやって来て、お話しないの?」

「トミー、きみは北風さんとお話したいのかい? 
もし北風さんがすぐそばに来たら、寒くてこごえてしまうよ」

「そうか、それで北風さんとは仲良くなれないんだね。
ピロさんも来なくなったし、お花たちもねむってしまって、ぼく、友達がいなくてさびしいな」

「あら、トミー、私たちがいるじゃないの? 
それに、犬のコロとはとても仲良しになったでしょう?」

「そうだね。
コロは北風さんが吹いてもかまわずに外でかけまわるけれど、寒くないのかな?」

コロはトミーが見ているのに気が付いて、まどのところへやって来ました。

「トミーぼうや、外に出て来て、ぼくといっしょに遊ぼうよ」

「それはだめだよ。
寒くて外に出られないんだよ。
コロは寒くないの?」

「寒くないよ。
だって、ぼく、こんなに厚い毛皮のコートを着ているんだもの。
トミーも毛皮のコートを着れば、外で遊べるよ」

「ぼく毛皮のコートは持っていないんだよ。
お日様が出ればママはぼくをしばふの上で日なたぼっこさせてくれるけれど、
今日みたいに雲のかげにお日様がかくれていては、とてもむりさ」

「じゃあしかたがない。
お日様がでるまで、ぼくだけで、かけ回ろう」

「コロはひとりでもつまらなくないの?」

「つまらなくないよ。
だって、ぼく、ひとりじゃないんだもん。
北風さんと遊ぶんだよ。
寒いのを気にしなければ、北風さんだって悪い人じゃないんだよ。
ふるさとの北の国のお話をしてくれるよ。
じゃあね」

コロはうれしそうにはねながら、かけて行ってしまいました。

更新日:2010-06-16 14:04:02

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