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かえるのコンサート
次の朝、雨はすっかり上がり、木の葉の上に置かれたお水の宝石を太陽がきらきらと輝かせ始めると、そよ風のララさんがやってきました。
「ララさん、雨の間どこに行っていたの?」
「雨の降る時は、木の葉の下で休むのよ、オコチカバー。
雨にぬれるのはあまり気持ち良くないですものね。
木の葉の下で、かえるさんたちがぴょんぴょんとびはねて遊ぶのを見ていたのよ。
雨の日に元気の良いのはかえるさんたちぐらいのものね」
「そうだ、ララさん、かえると言えば、かえるのケリーを知っている?」
ミモマムがたずねました。
「かえるのケリーですって?
知っているわよ。
このあたりで一番声の良いかえるよ。
あなた方ケリーの歌を聞いたことがあって?」
「この間の雨の日にね、この窓にやって来て、ガラスにぺたっとはりついて、
ぼくたちと話したんだ。
すばらしいオペラも聞かせてくれたよ」
「だけど、とっても悲しそうだったのよ。
だって、昔の仲間がみんなどこかへ行っちゃって、前みたいに合唱ができなくなってしまったんですって」
「そうそう、昔はこの近くに大きな沼があってね、月夜の晩にはかえるたちのコンサートが開かれていたのよ。
あのころがなつかしいわ」
ララさんは目を細めて、昔の事を思い出しているようでした。
オコチカバーは何かを考えついたらしく、緑の目をくるくる回しました。
「ねえ、ララさん、昔みたいにコンサートが開けるように、なんとかかえるさんたちを呼びもどせないものかな?」
それを聞いてミモマムは、背中の羽をはばたいて、ゆかから浮き上がりました。
良いことを思いつくとミモマムはいつもそうするのです。
「そうだわ、昔みたいにコンサートを開けばいいんじゃないの」
「ミモマム、ずいぶん簡単に言うけれど、コンサートを開くには、かえるさんたちが集まって来なければならないんだよ」
「だから、かえるさんたを集めるのよ」
「えっ、どうやって?」
「ちらしを作るのよ。
『月夜のかえるのコンサート。
主演歌手、雨がえるのケリー。
日時、次の満月の夜。
場所、昔の沼地』
って木の葉に書いて、ララさんにあちらこちらに配ってもらうの」
「それは良い考えよ、ミモマムちゃん。
私、雨のあと、あちらこちらを吹いてみてまわったのよ。
雨が何日も降ったものだから、やまゆりの谷のやなぎの木の根もとに、大きな水たまりができたのよ。
そこがちょうど昔のぬまちがあった所なのよ。
そのちらしを見れば、みんなきっと、そこに集まって来るわよ」
「わーい、大名案、ぼくってなんてすごいアイデアマンなんだろう」
「あら、オコチカバーったら、これは私のアイデアよ」
「だれのアイデアでもかまわないわ。
さっそくじっこうにうつりましょう」
オコチカバーは近くのしらかばの木の葉を一枚取ってきました。
それに、みつばちが置きわすれていった針に、くわの実のインクをつけて、ミモマムが言ったように書きました。
そしてその葉っぱを太陽にかざして、ふっと息を吹きかけたら、葉っぱは十枚に分かれました。その十枚をララさんが太陽に向けて吹き上げて、オコチカバーが大きく息を吸って、ふっとかけると、十枚の葉っぱは百枚になって、地面に落ちてきました。
またララさんが、今度は百枚の葉っぱを吹き上げて、オコチカバーが体が風船のようにふくらむくらいに、大きな息を吸って吹きかけたら、百枚が千枚になって飛んで行きました。
「まかせておいてちょうだい。
私がちょうどうまく、たくさんのかえるさんたちの目に届くように配ってくるから」
そう言い残してララさんは葉っぱのちらしの配達に出かけて行きました。
「ララさん、雨の間どこに行っていたの?」
「雨の降る時は、木の葉の下で休むのよ、オコチカバー。
雨にぬれるのはあまり気持ち良くないですものね。
木の葉の下で、かえるさんたちがぴょんぴょんとびはねて遊ぶのを見ていたのよ。
雨の日に元気の良いのはかえるさんたちぐらいのものね」
「そうだ、ララさん、かえると言えば、かえるのケリーを知っている?」
ミモマムがたずねました。
「かえるのケリーですって?
知っているわよ。
このあたりで一番声の良いかえるよ。
あなた方ケリーの歌を聞いたことがあって?」
「この間の雨の日にね、この窓にやって来て、ガラスにぺたっとはりついて、
ぼくたちと話したんだ。
すばらしいオペラも聞かせてくれたよ」
「だけど、とっても悲しそうだったのよ。
だって、昔の仲間がみんなどこかへ行っちゃって、前みたいに合唱ができなくなってしまったんですって」
「そうそう、昔はこの近くに大きな沼があってね、月夜の晩にはかえるたちのコンサートが開かれていたのよ。
あのころがなつかしいわ」
ララさんは目を細めて、昔の事を思い出しているようでした。
オコチカバーは何かを考えついたらしく、緑の目をくるくる回しました。
「ねえ、ララさん、昔みたいにコンサートが開けるように、なんとかかえるさんたちを呼びもどせないものかな?」
それを聞いてミモマムは、背中の羽をはばたいて、ゆかから浮き上がりました。
良いことを思いつくとミモマムはいつもそうするのです。
「そうだわ、昔みたいにコンサートを開けばいいんじゃないの」
「ミモマム、ずいぶん簡単に言うけれど、コンサートを開くには、かえるさんたちが集まって来なければならないんだよ」
「だから、かえるさんたを集めるのよ」
「えっ、どうやって?」
「ちらしを作るのよ。
『月夜のかえるのコンサート。
主演歌手、雨がえるのケリー。
日時、次の満月の夜。
場所、昔の沼地』
って木の葉に書いて、ララさんにあちらこちらに配ってもらうの」
「それは良い考えよ、ミモマムちゃん。
私、雨のあと、あちらこちらを吹いてみてまわったのよ。
雨が何日も降ったものだから、やまゆりの谷のやなぎの木の根もとに、大きな水たまりができたのよ。
そこがちょうど昔のぬまちがあった所なのよ。
そのちらしを見れば、みんなきっと、そこに集まって来るわよ」
「わーい、大名案、ぼくってなんてすごいアイデアマンなんだろう」
「あら、オコチカバーったら、これは私のアイデアよ」
「だれのアイデアでもかまわないわ。
さっそくじっこうにうつりましょう」
オコチカバーは近くのしらかばの木の葉を一枚取ってきました。
それに、みつばちが置きわすれていった針に、くわの実のインクをつけて、ミモマムが言ったように書きました。
そしてその葉っぱを太陽にかざして、ふっと息を吹きかけたら、葉っぱは十枚に分かれました。その十枚をララさんが太陽に向けて吹き上げて、オコチカバーが大きく息を吸って、ふっとかけると、十枚の葉っぱは百枚になって、地面に落ちてきました。
またララさんが、今度は百枚の葉っぱを吹き上げて、オコチカバーが体が風船のようにふくらむくらいに、大きな息を吸って吹きかけたら、百枚が千枚になって飛んで行きました。
「まかせておいてちょうだい。
私がちょうどうまく、たくさんのかえるさんたちの目に届くように配ってくるから」
そう言い残してララさんは葉っぱのちらしの配達に出かけて行きました。
更新日:2010-06-16 13:53:08