- 18 / 30 ページ
あめふりの日
黒い雲が近ずいてきて、空が暗くなったら、屋根をぱたぱたと打つ音が聞こえてきました。
それは雨の音でした。
雨たちはこんな歌を歌っていました。
「ぼくらは雨のそうじ人、屋根も窓もかきねも道も、きれいに洗ってあげるんだよー」
雨のおそうじは一日で終わらず、次の日も次の日も降りつずけました。
「ねえ雨さん、もうきれいになっただろう?
そろそろ止んでもいいんじゃない?
トミーぼうやがお外に出られなくて、つまらなそうだよ」
「まだまだ降るのは止められないさ。
だって、ぼくらはおそうじだけじゃなくて、みんなにお水を飲ませてあげなきゃならないんだ。
木や花や鳥や動物や、それから君たちが飲むために、ダムにたっぷりお水をためなければならないからね」
そして雨は次の日も次の日も降りつずきました。
トミーぼうやばかりでなく、オコチカバーもミモマムもたいくつです。
「めじろのピロさんは来ないし、ララさんも吹かないね。
オコチカバーにミモマム、何かおもしろいお話をぼくにしてちょうだいよ」
トミーはせがみました。
「よわったな、ぼくはピロさんみたいにお話上手じゃないし...」
「私はララさんみたいに歌えないわ」
その時、窓ガラスに何かがぴょんととびつきました。
「ケロケロケロッ、こんにちわ。
ぼくは雨がえるのケリーだよ。
毎日良いお天気で、なによりだね」
「えっ、なんだって?
良いお天気だって?
君、何言っているの?」
「ぼくたち、かえるは雨が大好き。
だから、ぼくらにとって、雨は良いお天気さ。
傘もささずに雨に打たれて、びしょびしょになれば、思わず歌が口に出る」
ケリーは窓のそばの大きなあおいの葉の舞台にとび乗って、雨だれのドラムに合わせて歌い出しました。
「ケロケロケロッ、雨の日は~お外で遊べない~何もできないつまらない~。
だからこの私、雨がえるのケリーがオペラをごひろういたしましょう~」
ケリーは何をいうにもオペラのように節をつけて話ます。
「ぼくは村中一番の声じまんのかえるだよ。
村ののどじまんでは、いつもゆうしょうしたものさ。ケロケロ。
それからぼくがテナーで、ひきがえるのエディーがバリトンで、二人でデュエットしたものさ。
あっちのまつりやこっちのまつりでひっぱりだこの人気者」
ここで曲の調子が長調から短調に変わりました。
「ところがある日、ぼくらの住んでいた沼はうめたてられて、家が建つことになったんだ。
工事がはじまったら、もうしかたがない。
ぼくらはみんな、どこかへ引っ越すしかなかったんだ。
それでぼくらははなればなれ。
ひきがえるのエディーともそれ以来、あわずじまいなのさ」
ケリーが感情をこめて、あまりに悲しい声で歌ったので、聞いているみんなも悲しくなりました。
一曲歌い終わるとケリーはぴょこんぴょこんとおじぎをして、また、窓ガラスにぺたんととびついて、中をのぞきこむと言いました。
「どうだい、ぼくの声、まだすてたもんじゃないだろう?」
「あなたは全く良い声をしているわ。
だけど今の歌は悲しい歌ね」
「きみはむかしみたいに、ひきがえるのエディーといっしょに歌いたいんだね」
「そうだよ。
でも、それはもう無理だとぼくあきらめているんだ。
それより、今度はひとつ、楽しい歌を歌ってあげようね」
「あめあめふれふれ、ぼくらのお池にたくさんたくさんお水をためて、
あめあめふれふれ、お池のまわりでかえるのオリンピック。
だれが一番高くとべるかくらべっこ。
はっぱのジャンプ台からとびこみしよう。
楽しいかえるのオリンピック」
「わーい、楽しい歌だね。」
オコチカバーもミモマムもトミーぼうやも大喜びしました。
そのうちに雨のそうじ屋さんがひきあげて行きました。
「じゃあまたね。
次の雨の日にやって来て、また歌を歌ってあげるよ」
ケリーはぴょんとひととびして、葉のかげに消えてしまいました。
それは雨の音でした。
雨たちはこんな歌を歌っていました。
「ぼくらは雨のそうじ人、屋根も窓もかきねも道も、きれいに洗ってあげるんだよー」
雨のおそうじは一日で終わらず、次の日も次の日も降りつずけました。
「ねえ雨さん、もうきれいになっただろう?
そろそろ止んでもいいんじゃない?
トミーぼうやがお外に出られなくて、つまらなそうだよ」
「まだまだ降るのは止められないさ。
だって、ぼくらはおそうじだけじゃなくて、みんなにお水を飲ませてあげなきゃならないんだ。
木や花や鳥や動物や、それから君たちが飲むために、ダムにたっぷりお水をためなければならないからね」
そして雨は次の日も次の日も降りつずきました。
トミーぼうやばかりでなく、オコチカバーもミモマムもたいくつです。
「めじろのピロさんは来ないし、ララさんも吹かないね。
オコチカバーにミモマム、何かおもしろいお話をぼくにしてちょうだいよ」
トミーはせがみました。
「よわったな、ぼくはピロさんみたいにお話上手じゃないし...」
「私はララさんみたいに歌えないわ」
その時、窓ガラスに何かがぴょんととびつきました。
「ケロケロケロッ、こんにちわ。
ぼくは雨がえるのケリーだよ。
毎日良いお天気で、なによりだね」
「えっ、なんだって?
良いお天気だって?
君、何言っているの?」
「ぼくたち、かえるは雨が大好き。
だから、ぼくらにとって、雨は良いお天気さ。
傘もささずに雨に打たれて、びしょびしょになれば、思わず歌が口に出る」
ケリーは窓のそばの大きなあおいの葉の舞台にとび乗って、雨だれのドラムに合わせて歌い出しました。
「ケロケロケロッ、雨の日は~お外で遊べない~何もできないつまらない~。
だからこの私、雨がえるのケリーがオペラをごひろういたしましょう~」
ケリーは何をいうにもオペラのように節をつけて話ます。
「ぼくは村中一番の声じまんのかえるだよ。
村ののどじまんでは、いつもゆうしょうしたものさ。ケロケロ。
それからぼくがテナーで、ひきがえるのエディーがバリトンで、二人でデュエットしたものさ。
あっちのまつりやこっちのまつりでひっぱりだこの人気者」
ここで曲の調子が長調から短調に変わりました。
「ところがある日、ぼくらの住んでいた沼はうめたてられて、家が建つことになったんだ。
工事がはじまったら、もうしかたがない。
ぼくらはみんな、どこかへ引っ越すしかなかったんだ。
それでぼくらははなればなれ。
ひきがえるのエディーともそれ以来、あわずじまいなのさ」
ケリーが感情をこめて、あまりに悲しい声で歌ったので、聞いているみんなも悲しくなりました。
一曲歌い終わるとケリーはぴょこんぴょこんとおじぎをして、また、窓ガラスにぺたんととびついて、中をのぞきこむと言いました。
「どうだい、ぼくの声、まだすてたもんじゃないだろう?」
「あなたは全く良い声をしているわ。
だけど今の歌は悲しい歌ね」
「きみはむかしみたいに、ひきがえるのエディーといっしょに歌いたいんだね」
「そうだよ。
でも、それはもう無理だとぼくあきらめているんだ。
それより、今度はひとつ、楽しい歌を歌ってあげようね」
「あめあめふれふれ、ぼくらのお池にたくさんたくさんお水をためて、
あめあめふれふれ、お池のまわりでかえるのオリンピック。
だれが一番高くとべるかくらべっこ。
はっぱのジャンプ台からとびこみしよう。
楽しいかえるのオリンピック」
「わーい、楽しい歌だね。」
オコチカバーもミモマムもトミーぼうやも大喜びしました。
そのうちに雨のそうじ屋さんがひきあげて行きました。
「じゃあまたね。
次の雨の日にやって来て、また歌を歌ってあげるよ」
ケリーはぴょんとひととびして、葉のかげに消えてしまいました。
更新日:2010-06-16 14:20:03