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「猫くん、これで痛いという事がどういう事か分っただろう? 
きみはたくさんの小鳥やけものを痛い目に合わせたんだよ」

猫は自分が痛いのと、みんなを痛がらせたというこうかいの気持ちで,しょぼんとしてしまいました。
それを見てオコチカバーは猫がかわいそうになりました。

「猫くん、いくらおもしろいからって、小さな生き物たちを怖がらせたり、きずつけてはいけないってことが、これでわかったかい?」

「わかったよ。わかったよ。
もうそんなことはしないよ。
ごめんな、オコチカバー」

猫は泣きそうな顔であやまりました。

「じゃあ、もうしないってやくそくするなら、かんべんしてあげよう。
そしてこれからは良い猫になるんだよ」

「うん、やくそくするよ。
でも良い猫ってどんな猫?」

「小さな鳥やけものや人間たちにやさしくしてあげるんだよ。
みんなから‘いい猫ちゃんね’っていわれるようになるんだよ」

「わかった、おれやってみるよ」

「それからその‘おれ’って言うのは良くないな。
ぼくの方がよっぽど聞こえがいいよ」

「はい、わかりました。
ぼく、これから良い猫になりますよ、オコチカバー」

そう言うと猫は「プルルルルー」とのどをならし、しっぽをくねらせながら、家へ帰って行きました。

オコチカバーも家に帰ると、ミモマムに全部話して聞かせました。

「ふーん、口でせっとくしたわけじゃないけれど、わんりょくも使わなかったってことね。
とにかく、悪い猫がいなくなって、これからは良い猫が私たちの仲間になるんだわね。
オコチカバー、あなたは良くやったわ」

ミモマムにほめられて、オコチカバーはその夜は気持ち良く、ぐっすりと眠りました。

すっかり元気になったピロさんがある朝やって来て言いました。

「このあいだ、牛飼いのベンおじいさんのところを通ったらね、黒猫が出てきて私にあやまったのよ。
痛くして悪かったって。
それから、オコチカバー、あなたのことをものすごくけんかの強い小さな人だって、かんしんしていたわ」

「ぼく、けんかしたんじゃないんだよ。
すばやくかわして、相手にならなかったのさ」

それから、ピロさんは、悪い猫が良い猫になったニュースを、みんなに話しに飛び立って行きました。









更新日:2010-06-16 13:51:24

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