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いのちの木
薄暗い森の一番奥のところに、いのちの木は立っていました。
しっかりと根っこを大地にはって、空に向かって大きく枝をのばしているその木を見て、
“なんて立派な木なのだろう”
とオコチカバーは心の中でつぶやきました。
オコチカバーたちが下から自分を見上げているのに気ずいたいのちの木は、
低い声をひびかせて言いました。
「私に何か用かね?」
その声に、みんなはちょっとこわくなって、たちろぎましたが、
オコチカバーは勇気をだして、一歩踏み出すと言いました。
「ぼくの友達のピロさんが、うろつき猫にやられて、とても弱っているんです。
いのちの木さん、あなたならピロさんをたすけられると思って、風の子たちにたのんで、
ここまでつれて来てもらったんです」
「なに? ピロさんだって?
めじろのピロのことを言っているのかね?」
「そうです」
「めじろのロなら私の大切な弟子だよ。
この私の手の上に乗せなさい」
いのちの木は葉のしげった大枝を地面にとどくように、大きくゆすりました。
そこで、風の子供たちは全員で力いっぱい吹いて、ピロさんをいのちの木の葉っぱの手の上に舞い上げました。
いのちの木は手を持ち上げて、ピロさんを自分の顔の前までつれてきて話かけました。
「ピロや、おまえがしばらく来ないので、私はとても心配していたのだよ。
かわいそうに、ひどい目に合ったのだね。
でももうだいじょうぶ。
さあ、私がいのちをそそいであげよう。
いっぱい体に取り入れて、元気におなり。
そしてまた、たくさんの人に会うたびに、いのちをまきちらして、みんなを元気にしておくれ。
おまえは私の可愛い一番弟子だ」
ピロさんはうれしそうに、ピチュピチュ、ピロピロとそれに答えました。
その声がだんだん大きく力強くなってきて、ついにピロさんはいのちの木の手から飛び立ちました。
「わー、ピロさん元気になった。
羽もなおったんだね」
オコチカバーもララさんも、風の子供たちもはくしゅかっさいで大喜び。
「ピチュピチュ、ピロピロ。
いのちの木さんありがとう。
これでまた、いろいろな所を飛びまわれるわ。
みんなにあなたの命を分け与えて、はげまし、力ずけてあげられるわ」
みんなはいのちの木にお礼を言うと、そこを立ちさりました。
いのちの木は大きく枝を揺らして、さよならと手を振ってみんなを見おくりました。
「オコチカバー、林に帰ったらぼくたちと遊ぼうよ。遊ぼうよ」
「風の子たち、さそってくれるのはありがたいけど、ぼくには他にまだしなくちゃならないことがあるんだよ」
「またえらそうに、ぼくたちの申し出をことわるのかい?ことわるのかい?」
「そうじゃないんだ。
ピロさんを傷つけた猫に会って、悪さをしないように言い聞かせなくちゃならないんだ。
そうじゃないと他にも被害者が出てしまうからね」
「そういう事ならしかたがない。しかたがない。
でもひまがあったら遊びにきてよ。遊びにきてよ。
ぼくたちしばらくはあそこにいるからね。いるからね」
風の子供たちはオコチカバーのことを変わりものとは思ったけれど、気に入ったようでした。
しっかりと根っこを大地にはって、空に向かって大きく枝をのばしているその木を見て、
“なんて立派な木なのだろう”
とオコチカバーは心の中でつぶやきました。
オコチカバーたちが下から自分を見上げているのに気ずいたいのちの木は、
低い声をひびかせて言いました。
「私に何か用かね?」
その声に、みんなはちょっとこわくなって、たちろぎましたが、
オコチカバーは勇気をだして、一歩踏み出すと言いました。
「ぼくの友達のピロさんが、うろつき猫にやられて、とても弱っているんです。
いのちの木さん、あなたならピロさんをたすけられると思って、風の子たちにたのんで、
ここまでつれて来てもらったんです」
「なに? ピロさんだって?
めじろのピロのことを言っているのかね?」
「そうです」
「めじろのロなら私の大切な弟子だよ。
この私の手の上に乗せなさい」
いのちの木は葉のしげった大枝を地面にとどくように、大きくゆすりました。
そこで、風の子供たちは全員で力いっぱい吹いて、ピロさんをいのちの木の葉っぱの手の上に舞い上げました。
いのちの木は手を持ち上げて、ピロさんを自分の顔の前までつれてきて話かけました。
「ピロや、おまえがしばらく来ないので、私はとても心配していたのだよ。
かわいそうに、ひどい目に合ったのだね。
でももうだいじょうぶ。
さあ、私がいのちをそそいであげよう。
いっぱい体に取り入れて、元気におなり。
そしてまた、たくさんの人に会うたびに、いのちをまきちらして、みんなを元気にしておくれ。
おまえは私の可愛い一番弟子だ」
ピロさんはうれしそうに、ピチュピチュ、ピロピロとそれに答えました。
その声がだんだん大きく力強くなってきて、ついにピロさんはいのちの木の手から飛び立ちました。
「わー、ピロさん元気になった。
羽もなおったんだね」
オコチカバーもララさんも、風の子供たちもはくしゅかっさいで大喜び。
「ピチュピチュ、ピロピロ。
いのちの木さんありがとう。
これでまた、いろいろな所を飛びまわれるわ。
みんなにあなたの命を分け与えて、はげまし、力ずけてあげられるわ」
みんなはいのちの木にお礼を言うと、そこを立ちさりました。
いのちの木は大きく枝を揺らして、さよならと手を振ってみんなを見おくりました。
「オコチカバー、林に帰ったらぼくたちと遊ぼうよ。遊ぼうよ」
「風の子たち、さそってくれるのはありがたいけど、ぼくには他にまだしなくちゃならないことがあるんだよ」
「またえらそうに、ぼくたちの申し出をことわるのかい?ことわるのかい?」
「そうじゃないんだ。
ピロさんを傷つけた猫に会って、悪さをしないように言い聞かせなくちゃならないんだ。
そうじゃないと他にも被害者が出てしまうからね」
「そういう事ならしかたがない。しかたがない。
でもひまがあったら遊びにきてよ。遊びにきてよ。
ぼくたちしばらくはあそこにいるからね。いるからね」
風の子供たちはオコチカバーのことを変わりものとは思ったけれど、気に入ったようでした。
更新日:2010-06-16 13:50:56