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オコチカバーは、風の子供たちが遊んでいる所へ行って言いました。

「風の子供たち、ぼくの話を聞いてくれ」

するとピューピュー、ガサガサが止んで急にしずまりかえりました。

「あれ、いったいだれだい? だれだい?」

「ぼくだよ、オコチカバーさ」

「あっ、さっきの緑のまじめっ子だね。まじめっ子だね」

「きみはぼくたちとは遊ばないって言っただろ? 言っただろ?」

「ぼくたちだって、おもしろくない子とは遊びたくないよ。遊びたくないよ」

「そうじゃないんだ。
遊びに帰ってきたんじゃないよ。
きみたちはたつまきのおこしかたを練習していたんだろ? 
うまくできるようになったかなと思ってさ、見に来たんだよ」

「かなりうまくできるよ。できるよ。
やって見せてあげようか? あげようか?」

風の子供たちはとくいになって、何枚かの葉っぱをまきあげて、くるくると回ってみせました。

「うん、なかなかうまいもんだね。
だけど、ずいぶん小さなたつまきだね。
もっと大きなたつまきはおこせないの?」

「なんだって、大きなたつまきだって? たつまきだって? 
ぼくらにできないことはないんだよ。ないんだよ」

そう言うと十人の風の子たちがいっせいにたつまきを起こしました。
オコチカバーも葉っぱと一緒にまきあげられて、風の輪の中で、くるくると回りました。

「わーい、やったやった。
きみたちすごいね。
ぼくをまきあげられるんなら、ピロさんを森の奥のいのちの木のところまで、
連れて行ってくれよ」

「なんだ、そんなことなら早く言えばいいのに。いいのに。
ぼくたちだって遊んでばかりじゃないんだぞ。ないんだぞ。
いつかはそんな人助けができるように、できるように、練習にはげんでいたんだからね。いたんだからね」

風の子供たちはピューと林を通りぬけ、ピロさんの所へやって来ると、
「いちにのさん、さん」
と声をかけ、いっせいにたつまきを起こして、ピロさんをまきあげ、森の奥のいのちの木の所へ連れて行きました。

オコチカバーとララさんもそれにおくれないように飛んでついて行きました。


更新日:2010-06-16 13:50:40

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