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第1章~TMA設立!?

――――――――真駒 濤司は大の女嫌いであった。

顔はモテるし、性格もそう悪くは無かったので、女子には人気の的であった。だが、当の本人の奥底では「女という生き物に全くの興味が無い。というよりも、邪魔者以上の存在だ」という、存在を否定するかの様な思想を持っている人間だった。
それを分かっていながらも、女子はバレンタインや、クリスマスなどにあらゆる手を使って濤司の心を射止めようとした。
でもそれは、無駄という言葉しか当てはまらなかったのだ。

そんな相変わらずの思想を持ったまま、聖プレミール学園へと進学した。
入学したとき濤司は、今までやっていたサッカーを止め、普通の自由人になりたいとしか思わなかった。もちろん、入学当初は女子には興味が全くなかったのだ。
だがしかし、自体はその数ヶ月後に一変するのである。

6月に学園祭が開催した時に、ミスコンがあった。
友人もみんな行くので「一人になるなら」と仕方なく付いて行った。
会場に着くともう既に始まっているようで、ステージにはズラリと美少女が並んでいた。友人は「うひょー!」「これは、見物だぜ~」とか、奇声を張り上げていたが濤司だけは、じーっとステージの方を見るばかりであった。
濤司は、何故か1人の女子に惹かれていた。
スラっとしていて、胸が大きくて、透き通るような茶髪が印象的だった。
でも、どこかで見たことがあるようだった。
今まで感じたことの無いような緊張感に襲われ、胸が張り裂けそうになる。
(・・・何だ、この変な気持ちは)

いよいよ表彰になった。濤司は目を丸くして見守った。
もちろん、周りは熱狂の渦で何が何だか分からなくなっている。

「今年の、ミスグランプリは・・・」
ジャララララというお馴染みのBGMが流れる。発表までの時間が長く感じたように思えた。そして・・・
「3番の1年A組、朱鷺谷 魅世さんに決定しました~!」
そのまさかだった。濤司が惹かれていた女子がグランプリになったのだ。
「うぉー!魅世様~!」、「魅世ちゃんおめでとー!」「魅世は俺の嫁」「wryyyyyyyy!」とか、周りは混乱状態なのであった。

学園祭の終了後、席替えがあった。方法はくじ引きで行われ、席は真ん中寄りの席だった。
隣が誰になるか移ってくるのを待っていると・・・

「初めまして、朱鷺谷魅世です。ふつつか者ですけど、仲良くしてくださいね」
濤司は全身をビクッとさせた。これまたまさかの、グランプリが隣の席になったのだ。しかも、ご丁寧に挨拶までしてくれる魅世に濤司は「さすがはグランプリ。ルックスも良いけど、礼儀も素晴らしいんだな」とドキドキしながら思った。
「こちらこそ、よろしく。俺は、真駒濤司。迷惑かけるかもしれないけどよろしくな」

それからは、濤司の人生観が変わった。今までは女子に話したことの無かった濤司が、魅世に話しかけているのである。
といっても、最初は言葉を詰まらせながらのスムーズな会話では無かった。
しかし、次第に打ち解けて色んな事を話せるようになった。
そんな中で、やがて濤司はある気持ちが芽生え始める。
「俺、魅世と付き合いたい・・・」
そして、ある日の放課後魅世が体育館の裏へ呼んだ。ベタな場所ではあるが、そんなことはどうでもいいと濤司は思った。
結果は魅世の奇跡の逆告白で、濤司のミスによる失恋で終わった。
しかも、魅世の心に大きな傷を生んでしまったのである。
告白した翌日。校内では濤司の噂で持ちきりだった。
「濤司君、何考えているだろうね」
「しかも、魅世さんが告ったの初めてだったらしいよ」
「え~!?それ最悪じゃ~ん」
「あいつは、追放するべき人間だな」
「そうだそうだ!グランプリを泣かせるやつは許さない!」
大変な事になってしまった。休み時間には、生徒が濤司の前に集り「どうなの!?」とか「魅世さんに謝れよ!」とかの怒声の嵐。
こりごりだと思った、濤司は放課後に魅世を呼んだ。昨日のことを謝りたかったからである。
しかし、魅世は今日1日かなり気分が悪そうで、保健室にも行っていたほどだった。

更新日:2009-05-05 15:05:27

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