• 作品を探す:

小説

携帯でもPCでも書ける!

  • 14 / 31 ページ

 その日を境に、雄吾と睦の関係は以前のようなものに戻ったように、傍目には見えた。
時間が許す限り、睦と雄吾は元通り一緒に行動し、雄吾は睦のバイトの送迎をし、週の大半を雄吾の部屋で過ごし、一つのベッドで眠った。
 ただ、以前と違っているのは、雄吾から睦に触れてくることがなくなったことだった。
 元通りの態度になってから、睦はさんざん友達にからかわれた。
 周りは痴話喧嘩だと決めつけている。
 だが、喧嘩ができるほうがよっぽどましだと睦は思った。
 雄吾に告白されただけで、どうしたらいいかわからなくなっていたのに、雄吾とキスをしてからというもの、自分のことがますますわからなくなっていた。
 以前のように雄吾の足の間に座ってテレビを見ていると、体に触れる雄吾の熱が睦の体の奥に潜んでいる欲望に火をつけ、甘い疼きを呼び覚ます。
 何気なく目が合った瞬間に、キスをしたい衝動に駆られ、目をそらしたことは何度もある。
 何かを持っている雄吾のがっしりとした手を見た途端、それがどんな風に睦の体を抱き締めたか、ありありと思い出してしまい、一人で身悶えしたこともある。
 低い声で名前を呼ばれただけで、体が反応するに至っては、変な暗示をかけられたとしか考えられなかった。
 じゃぁ、雄吾と距離を取ったら解決かと思い、週末に実家に帰り、友達と一晩中遊んでみたものの、逆に雄吾のことばかりが頭を占め、とうとう夜には雄吾とのキスとその後のことを思い出して、自慰に至る始末。
「これじゃ、まるっきり変態じゃん」
 自慰よりも気持ちいいキスを知ってしまった体は満足せず、もっともっととねだっている。睦は疼く体を持て余し、ベッドの上をごろごろと転がった。
 睦の戸惑いは、雄吾と二人きりのときばかりではなかった。雄吾が女の子と喋っているときにはもちろん、友達だとわかっている智樹や北野と喋っているときにすら割り込みかけたし、遠くで友人と話す雄吾を見かけたときには、思わず携帯電話に手が伸びた。一体、電話をかけて何を話すつもりだったのかと自問自答したが、邪魔しようとしたとしか考えられなかった。
 これは恋なのか。
 それとも性欲なのか。
 睦が悩んでいることを知ってか知らずか、雄吾の方は妙に落ち着いていた。告白する前と何ら変わらない態度で、睦に尽くし、睦を甘やかしている。
 あまりにも雄吾が自然に振舞うので、一人でキリキリしているように感じ、睦はなおさら苛立った。お前のせいで、何で俺がこんなに悩まないといけないんだ!と雄吾に八つ当たりをした。
 が、通りすがりに蹴ってみても、雄吾に「何か嫌なこと、あったの?」と心配そうに問い返される始末。
 これが雄吾に対してでなかったら、どうしたらいいのかを雄吾に相談していただろう。でも、こんなことを当の本人に相談することはできないし、他の奴に相談しても笑われるだけだ。
 睦は意のままにならない体と心を抱えて、一人悶々と悩んでいた。

更新日:2010-05-09 18:01:15

友情が恋に変わるとき(雄吾x睦)