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序章 旅立ちの春 ~滝が流れ出した頃~


 あたりは、真っ赤だった。
 空も、大地も……。
 燃え盛る炎と、流れ落ちる、血で……。

 血の海の中に横たわる、たくさんの優しかったひとたち。
 もう、そのあたたかさに包まれることは、決してないのだと……。

 そして、血の海の中にある二つの影。

 太陽のような黄金の髪をもつ者と、
 闇のような黒髪を持つ者……。

「馬鹿野郎!! なんで……戻ってきやがったあっ!!」
 黄金色の髪が、揺れた。
「自ら姿を現すとは……愚かな奴だ」
 黒い髪が、風にあおられ、逆立った。

 許せない……。
 黒く怪しく、輝く血塗られた剣。

 忘れない……。
 優しかった人たちを……あたたかい……黄金の髪を……

 忘れない。
 決して、忘れは……しない……。
 

更新日:2010-05-11 00:19:00

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