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蓮は密かな怒りをひめながら帰っていった。
「知名度・・・・ねえ・・・」



「じゃあ~ん!ここが我らの部室です!」
広い音楽室に蓮の声が響き渡る。
「ひろ~い!よく取れたね!」
蜜柑の声も響き渡る。しかし寂しい、寂しすぎる・・・
とりあえず机かなんかに座ってみる。あたりがシーンと静かになる。音楽室といっても防音機能があるくらいでなんにもない、なかはスッカラカンである。あるとしたら・・・時計くらいか。
「え~ただいまより、第一回のバンド部ミーティングを始めます!」
蓮が元気よく言うが、蜜柑しかいないので正直切ない・・・あたりがまた静まり返る・・・
「っといっても、今日はやることなさそうですね・・・」
蓮が言い直す。嗚呼、寂しい・・・
「そおだね、まず部員を集めなきゃね」
「だな、部員がいないと何にも始まらないからな」
「でさ、どうだったの?生徒会に行ってみて」
「どうもこうもって・・・問題なく部は承認してくれたんだが・・・」
「うん」
「だけど・・・蜜柑、一つ聞いていい?」
「いいけど・・・」
「この学校って、率直に言うと貧乏な方?」
「え!そんなはずはないよ!どうして?」
「だってさ、俺たち学費払ってないでしょ、だったらどこのお金で運営しているのかなと思ってよ・・・」
「う~ん、たしかスポンサーや契約した会社などがたくさんあって、そこからお金をもらっているって聞いたけど・・・むしろここはお金持ちの学校のはずなのは確かだよ」
「やっぱりそうか・・・」
蓮がはあっと、ため息をつく
「どうしてそんなことを・・・急に聞くの?」
「これを見て頂戴」
蓮は何かを指でピンっと弾いて飛ばし机の上に落下させた。
「これは・・・」
ころころと転がって机の上で静止する銅の塊
「10円玉?」
蜜柑が不思議そうに言う
「これ・・・どうしたの?」
「今月の部費・・・です・・・・」
だるそうに蓮が言う
「え?部費?」
「そ、これで一ヶ月分だとよ・・・」
ほおずえをつきながら寂しく言う。
「え?こ、これが部費?今月の?」
蜜柑が驚いて声も出ない。そりゃそうか・・・
「そ、これが俺たちの部活の部費だとよ。10円也」
「えー!そんなあ!」
蜜柑が声を上げる。静かな音楽室に響き渡る。
「なあ、これが金持ち高校のすることか・・・?」
蓮が10円玉を見つめながら言う
「どうして・・・こんなに少ないの?」
「新しい部はこれで十分だとよ。もっと欲しけりゃ知名度をあげろ、だそうだ・・・」
「知名度?」
「そ、大会かコンクールかなにかしらに出場して優秀な成績を収めるなどして炎陽学園バンド部の知名度をあげないといけないそうだ」
「でも・・・10円はひどくない?これじゃ何にもできないよ・・・」
残念そうな声を上げる蜜柑
「そうだよな・・・いくらなんでもな・・・」
部活の始まりはやたらと支出が多いから殆ど自腹になりそうだ・・・
「とりあえず部員をあつめなきゃ!部費を考えるのにはそこからだよ!」
っといわれても貧乏な部活にひとがきそうにもないが・・・でも人がいなきゃコンクールにでることすらできないからな。
「そうだな、明日から本格的に活動開始だな」
蓮が姿勢を直しながら言う
「でも・・・最初になにするんだろう・・・」
う!それは全く考えていなかった
「10円じゃ1枚くらいしかポスターができないよ・・・」
蜜柑が声を落とす
「大丈夫、なんとかなるって!とりあえず明日にしよう!!」
無理やり英気をつける蓮。蜜柑もすこし笑顔になる。
はあ・・・何にも考えてねえよ・・・
こうしてながいながい1日は終わったのであった・・・

更新日:2010-07-07 20:39:14

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