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1年95組の教室の前に来た。時計をみるとまだ8時じゃない。
やった、遅刻じゃない。蓮はそうおもい笑顔で扉を開けようとした、すると・・・
「蓮?蓮なの?」
後ろから声がする。
「蜜柑?」
蓮も返事をする。そこには蜜柑が立っていた。蜜柑はすぐさま蓮に近寄ってきた。
「蓮?蓮だよね?」
半分疑っているのかな?とりあえずうんといった。
「俺以外に誰に見えるんだよ。」
「じゃあ本物の蓮なんだね?」
蜜柑は少し恥ずかしそうにしていた。蓮もひさしぶりに会ったようで少し照れくさい。
「うん、いまさっき保健室から出てきたんだ・・・」
「そうなの?大丈夫?」
「大丈夫だよ。この通り回復したよ。」
蓮は軽く肩をまわす。実をいえばまだ少しクラッっとするがとりあえず笑ってごまかそう。
「蓮、ごめんね。私がもう少し早く気づいていればこんなことにはならなかったのに・・・」
急に謝る蜜柑。蓮も少し慌てながら
「そんなことないよ。蜜柑が悪いわけじゃない。俺の責任だよ。」
俺がサウナで昼寝(?)をしなければこんなことにはならなかったはずだ。元凶は俺にある。
蓮は蜜柑の肩に手をおいて慰める。
「でも、私なにもしてあげれなかった。蓮が倒れていたときも、わたし何にもしてあげれなかったんだよ。」
「そんなことないよ。俺が倒れたとき先生を呼んでくれたんでしょ?それで十分だよ。」
蓮は蜜柑の顔をみつめながら言う。
「蓮・・・」
蜜柑も蓮を見つめる。
「蜜柑・・・」
「蓮・・・」
「蜜柑・・・」
「蓮・・・」
お互いの名前を呼び合う2人。
「蜜柑・・・」
「蓮・・・」
「みかん!」
「れぇん!!」
「あの~お取り込み中悪いんだが、もう授業はじまってるぞ・・・」
え?これは蜜柑の声じゃない。そっちを振り向くと石塚先生が立っていた。
「きゃあ!先生いつからそこにいたんですか!!」
蜜柑が顔を真っ赤にしながら叫んだ。
「さっきからいたんだが・・・」
「ぜんぜん気がつかなかった・・・」
蓮も顔が真っ赤だ。もうかなり恥ずかしい。
「お二人さんの仲がいいのは分かったから、とりあえず席についてくれ・・・」
先生も軽く呆れ顔である。
二人は猛ダッシュで席についた。

ああ~恥ずかしかった。蓮はまだ頭がごっちゃになっている。
先生の世界史が始まった。今日は初めてなのにいきなり宗教改革から始められて困った。

ゴーン ゴーン ゴーン
1時間目が終わった。蓮もあくびをしながら立ち上がった。
「れぇーん、次は体育だよ。」
蜜柑が蓮に話しかける。
「どうせ体力テストでしょ。面倒くさいなぁ。」
体力テスト。それはある人は一気にクラスのスターになれるテストだ。しかしこの俺にとっては面倒くさい極まりないテストである。
今日は何やるんだろ・・・蓮はそう思いながら服を着替えてそとに出た。


外は昨日に劣らずいい天気。太陽も爆発万歳状態だ。
「ああ~あちいな。こんな天気で生徒を何させるつもりなんだ・・・」
そうつぶやきながらも体育が始まった。
この学校の体育は男女混合である。それはつまり!スポーツアピールにはもってこいに授業だ。ここにいる男子の何割かは女子の黄色い声を浴びるためやる気満々でいる。が蓮はこれといって極めたスポーツはないため、目立たずに終わるのがおちである。
「えーたいくのたんとーの小笠原です。よろしく。きょうは持久競技をやります。」
ま、ま、まさか!!初日から持久走だとォ!!馬鹿な!こんなことがあってたまるかァ!!!
「とりあえず2キロ走か20メートルシャトルランかどちらかをえらんでください。」
あたりは「えー」だとか「めんどくさいー」だとかわちゃわちゃしてる。蓮もめんどくさそうな顔をしていた。

・・・・・・苦渋の決断だ・・・
2キロ走。それはがんばればがんばるほど走る時間が短くなるが、逆に楽をすればするほど長くなるぢごくの競技。
20メートルシャトルラン。それは2キロ走とは全く逆でがんばるほど長くなるぢごくのテスト。
うーん、どっちにしようかな。どっちもつらいことには変わりがないのが悔しい。それに今の俺はベストなコンディションじゃないし・・・ああ!もうどうすればいいの?
蓮はいやな決断に頭を抱えた。
中学校ではめんどくさいのでやらなかったが・・・ここは逃げれない。どうしよう。
もうテンション下がりまくり。どうせ「できる子」のかませ犬になるだろう・・・いやそれだけはみっともない。せめて中の上はとらねば・・・でもなぁ。
あたりを見渡すとできそうな子ばかりである。
持久走やるなら1日前にいうってのがじょーしきだろ。こんな滅茶苦茶な決断すぐにできるか!!

更新日:2010-06-07 01:21:07

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