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ジリリリリリ・・・・   ジリリリリリリリリ・・・・

春眠が暁を覚えないとはこのことだろうか・・・
目覚まし時計の音が部屋中に響き渡る。
「う~ん」
低い唸り声を上げて、蓮はベッドから起きた。
ふと時計を見ると7時30分をさしていた。蓮は寝ぼけた頭で今の時間から登校でかかる時間、朝の支度にかかる時間などを逆算した。
やっと結果がでた。
「やっやっや、やばいいいいいい!遅刻するううぅぅぅぅ!!」
その叫びは部屋中に響き渡った。
慌てて部屋を飛び出し階段を降りた。
「親父!どうして起こしてくれなかったんだ!!」
返事はなかった。
「あれ?親父!?親父ぃぃぃ!」
何度も叫ぶが返事が来ない、蓮ははっと気づいた。
「そうか・・・、親父は単身赴任だったな・・・」
子を残してフランスへ行ってしまったのだ。自分も行きたいといったのだがつれてってはくれなかった。
またはっと気づく、今の状況を、
「ちくしょー!完全に遅刻だ!」
蓮は家を飛び出しMY自転車に荷物を乗せて駆け抜けた。

彼の名前は本澤 蓮(ほんざわ れん)15歳で今年から高校デビューするピッカピカの新入生だ。今日は入学式の日であるが・・・

「だめだ、絶対間にあわねえ!どうしよう・・・」
MY自転車をこぎながらつぶやいた。家から学校まで早くて一時間は絶対かかるほど遠いのだ。
「やべえ、やべえよ!初日から遅刻なんて!恥かくなんていやだよ~。ったく最近ぜんぜんついてねえなあ・・・」
最近は全くといっていいほどついていない。父はフランスにいくし、そのせいでせっかく公立高校合格したのに県外の私立にいかされる羽目になった。

「ちきしょおお!親父めぇぇぇぇ!!」

更新日:2010-05-05 01:12:43

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