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弟14話 無限大のボーカル

朝・・・・・というのも今日は曇りでどんよりしている。
とはいったもの不快な気分にさせない風が今日の炎陽学園に吹き渡っていた。
日差しがすっかり隠れてしまい、桜の花びらも風の影響で大量に飛んでいるのをみるとはかなく思えるこのころである。
炎陽学園は広いので掃除番が悲鳴をあげてるに違いない。

さてさてここはいわずと知れた炎陽学園テキトー寮。
そこには昨日辞めた元アイドルがたたずんでいた。
「本当にこんなところにいるのかしら・・・・・」
一瞬オバケ屋敷かマンションかと思うくらい陰湿オーラを放っている。
とてもじゃないが蓮がいるとは思えずたたずんでいた。
「噂には聞いていたけど、ひっどい寮ねえ~」
入るのにはそれなりに勇気要する。
「本当にいるのかしら?」
いるのは、オバケかそのほかおっかないものだと考えていた五月雨昼寝であった。
そうこうしているうちにもじかんがすぎていく。
「・・・・・・入ろうかな?」
そうつぶやいて入る決心をし、心の準備を整えたところで・・・・・・
「あれ?五月雨さん?」
「え?どなたですか?」
見たことがあるが2人でであったのははじめてである。
「蓮の近くにいたよねえ?」
「あ、私、静岡蜜柑といいます。今日はどうされたのですか?」
「蓮ってこの寮・・・・・かしら?」
「そうだよお、あ、もしかして蓮を起こしにきたの?」
「そう、だけど・・・・・」
もう一度寮を見る。
「あ、ここであってるよお、この中に入れば中にいるはずだよ」
早速蜜柑に案内されて寮にはいっていく昼寝。
「すごい不気味な寮ね~」
「そうだね~私も最初は怖かったけどぉ」
「こわかったんだけど?」
蜜柑が足をとめる。それにあわせて昼寝も止める。
「これがあるから・・・・・」
そこには不気味な寮の雰囲気を一掃するかのような飾りつけが施された扉があった。そこにはおおきな文字で『蓮の部屋』とかかれた札があった。
「ぜったいここよね?」
「そうだけど・・・・・・・」
「だけど?」
蜜柑が言いかけたのを、昼寝が問い直す。
「蓮・・・・・ぜんぜんおきないんだよね・・・・・・」
「そういうこと?だったら私にまっかせなさい」
昼寝が軽く胸を叩く。
そして扉をあけた瞬間・・・・・

「わ~~~~蓮!おはよ~~!!!!」
昼寝がその声をあげながら。ダッシュで蓮のところまでいってダイビング!
蓮はもともと掛け布団がないので蓮に直接ダイビングすることになる。
「え?えー?」
蜜柑もびっくりしているようである。
そして蓮に飛びついた。
「うわ!」
蓮が起きた。早い、早すぎる。蜜柑はその早業に圧倒された。
そのまま昼寝が蓮にだきつく。
「蓮~おはよ、おはよ、おはよ~~」
抱きつきながらすごい勢いで動く昼寝。これにはたまらず蓮も声を上げる。
「ひ、ひるね?どうしてここに・・・・・あいててて!!」
抱きつきながら離れようとしない昼寝。
「れ、蓮があ~」
蜜柑もただ傍観するしかなかった。
「おはよ~お目覚めのキスをしてあげる・・・・・」
そういって目を瞑り蓮の唇に迫る昼寝・・・・・
「ま・・・・マジですかあ?」
蓮もこれには甘んじて受けようとするが・・・・
「だ、だめ~そんなことしちゃだめえ~」
蜜柑がとっさに2人を引き離そうとする。
「五月雨さんといっても蓮にはだめえ~」
「え~どうしてよ!」
これには昼寝も参ったようである。
「そんなことは、だめなの。蓮は・・・・蓮は・・・・」
「うん?俺が?」
むくりと起き上がる蓮。
「蓮は私のものお~」
「だ!まじかよ!」
今度は蜜柑が蓮にダイブ。これには蓮もしっかり受け止めた。
「ええ!蓮を勝手にうばわないでよー!!」
「ああ・・・・・うん、朝から騒がしいなあ~」
なんだかよく分からないが・・・・・いったい俺が寝ている間になんかおきたのか?
「れ~ん、れ~ん」
「あ!ちょっと!そこ!キスしようとしないでよ!はなれなさいいー」
「あ~ん」
俺って世界一の幸せ者かも・・・・・いまきがついたんだが・・・・・・
蜜柑が昼寝によって離される。俺は結局誰ともキスできなかった・・・・・無念!!
「まったく、蜜柑と蓮がそんな仲だったなんて!これはライバルが強いわね・・・・・」
「こっちも、五月雨さんがライバルだなんて思いもしませんでした」
お互いなにかとにらみ合う。うん、えになるなあ~

更新日:2010-08-26 02:34:21

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