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幽霊顧問

僕は、これでも部活動の顧問を担当している。
いや、正確には部活動ではなく同好会だったかな?
名義だけの顧問みたいなものなので、部活動なのか?同好会なのかも理解していない。
生徒是認が部活動か同好会に参加するように指導しているので、妹の紫も幽霊部員として在籍しているのだが、顧問の僕も幽霊顧問なのである。
活動内容なんてどうでも良いのだ。
この学園でまともな部活動なんて、運動部ぐらいだろう。
文化部のほとんどが、PC研究会と言えばハッカーの集まりだし、工業技術研究会、略して技研なんて、なにやら怪しげな機械ばかり組立てている集団だ。
確か、僕のバイクをフルチューンして、濃縮酸素のボンベまで装着したのも技研の連中だった。
ハンドルに装着された怪しげなスィッチ押した瞬間、もの凄い加速と同時にシリンダーがぶっ飛んでいったので、技研の事はよく憶えている。
瀬戸君の革命同好会も文化部の系列なのだから、まともな団体は存在していないような気がするのだが……
ほとんどの危険な集団は、男子部の連中だから、女子部の何やらおとなしそうな集団の顧問になったような記憶があるが、実際のところ、活動の実情は分かっていないのだ。
たまにハンコを押して、学外活動の時に付き添う程度なのだから。
学外活動と言っても、僕は昼寝しているだけなんだけれど。
良い言い方をすれば、生徒の自主性を信じる放任主義ってやつだ。
多少のやんちゃは、僕も目をつぶっているのだが、それは、いざとなったら回収出来る貸しみたいなものだ。
若い時は、多少の悪さも必要なのだ。
ただ、線引きは必要で、戻れないところまで生徒が行かないようにはしているつもりだ。
あくまでも、僕の線引きなので、一般常識からは外れているのかもしれないが……
とりあえず、今のところ問題は起きていない。
いや、ばれていないというのが正解なのかもしれないけれど。
で、実際のところ、何をしているのか皆目見当のつかない部活だか同好会の部室に行くと、やはり何をしているのだか分からない状態だった。
だって、何も置いてないんだから。
窓辺に座った黒髪の少女が、一人で読書をしているだけだったのだ。
僕が入ってきた事に、何の興味も示さず、ただ読書をしているのだ。
僕が顧問をしているのは、読書をする活動だったかな?
幽霊顧問だから、何も理解していないのだけれど……理解するつもりも無いわけだし。

更新日:2010-08-22 17:52:13

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