• 4 / 10 ページ

通夜



オッサンを、棺に入れました。
眠っているみたいな、おっさんの顔。

遺影が飾られていました。
祭りがだいすきだったオッサン。
手ぬぐいのはちまきをハゲ頭にしめて、笑っているおっさん。

いまどきは、こういうのもありなんだ、と思いました。
経帷子なんか、乗せません。
祭り装束を上から、着ているようにのせ、はちまきを締めて、
ハッピを乗せて……。

開封し、一本とび出させたタバコ (ケント1) と、芋焼酎と、酒の紙パックを、
棺に入れた。
すきやったもんな、酒。

きらびやかな死装束を乗せるよりも、よっぽどオッサンらしいと思った。

やっぱり私は泣いてしまった。笑いながら。

納棺が終わって、斎場へ向かう。
セレモニー会館とか言うんですか? 私は行ったの初めてだった。
祭壇が、スゲエ豪華。びっくりした。そして、参列者の多さ……。
みんなに愛されていたんだな、と思ったよ。

席が無くて、入り口付近に立っていた私たちを、町内のおじさんが、
親族席に行ったらどうだ? という。
「あいていませんし……私たち、親族じゃありませんから……」
私が笑いながら言うと、親族席に空きが出来ました。
「あんたたちは家族やろ」 と。
町内の人は、よくわかっておられる。
ありがたく、すわらさせていただきました。

浄土真宗のお経、経本が無くても、そらで言えるよ、わたし……。

お経が済んで、住職さんがお話をしてくださって、
わたしはまた泣いた。
人間、いつどうなるのかわからないのだから、
ありがとう、ごめんなさい、愛しているという言葉を、惜しみなく伝えなさい、と。

そのあとですか?
控え室で、日本酒を二杯ほど飲んで、帰った人の食べたり飲んだりしたものを片付けて、
わたしも帰ったよ。
精進料理は、好きなので、いっぱい食べたよ。
食べなきゃダメだ、わたし……と思った。

帰りぎわ、もう一度おっさんの顔を見て、
「ありがとう。俺らすごく楽しかったよ」 と伝えた。

明日は燃やされちゃうんだな……。

俺が死んだときは、庭にでも埋めて欲しい。ああ、それは法律違反か。

明日で、最後。

オッサン、私たちはあんたのこと忘れないよ。
 
オッサンは、私たちの中で生きていく。
お父さんも、私の友達も。
ずっと、ずっと……。


2010-04-26 02:17:08

更新日:2010-04-28 13:28:06

  • Twitter
  • LINE
  • Facebook