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思い込みの激しい父

 昨年、突然我が家のテレビが“ボンッ!!”と小爆発を起こし、映像が何も写らなくなってしまった。3~4年前に妹が買ってきた比較的新しい液晶テレビなので、買い換えるにはさすがに早すぎる。
 その直前、我が公団では、来る地上デジタル放送に備えて全室ケーブルテレビのジェイコムの接続工事が義務付けられた。当然、毎月の受信料が上乗せされて請求される。
 父と母は、内心面白くなかったが、何しろ悲しき日本人。外面が良いので、管理人などに文句を言うことはない。
 かくして、我が家では放送受信料を取り戻すべく、一日中ケーブルテレビを見続ける日々が始まった。父は時代劇チャンネル(朝から夕方までほとんど)、母はミステリーチャンネルのクリスティーもの(夜、たまに)と、なかなか元は取っているのではないかと思う。
 しかしそうした中、テレビが小爆発を起こすという事件が起きた。
 当然、父と母はジェイコムを疑った。ジェイコムの取り付け工事をするまで、こんなことはなかったのだ。
「ジェイコムに電話しろ!」
 父の怒号により、母は電話で確認した。しかし、「それはテレビの問題なので、テレビのメーカーに電話して聞いてみてください」と、ジェイコム側はけんもほろろだった。
 父は例のごとく、「何だ! 無責任だ!」と怒り出したが、怒っていても仕方ないので、母は日立に電話した。すると、たまたまうちが買った“W26L-H80”という型は、今までにいろいろと問題を起こしているようで、すぐに修理に来てくれた。
 修理が終わり、まだ納得が行かない父は、「ジェイコムのせいではないのか?」と日立の修理に来てくれた人に聞いてみた。修理の人は、「いいえ違います。うちのホームページにも載っていますのでご確認下さい」といって帰っていった。
 そこまではっきりと言っているのにも関わらず、父は「ジェイコムと日立が口裏を合わせているに違いない!」と、まだ信じていなかった。さすがに私も呆れて、ホームページを調べて「行ったとおり、書いてある!」というと、ようやく納得したようだった。
 耳が悪い人は人の話を聞かないというのは、うちの父を見ていると全くその通りだと思う。

更新日:2010-04-20 11:02:13

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