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エマの羽

 
 ツバメのエマは誰よりも飛ぶことが上手でした。
 いつものように得意げに青空を飛びまわり、小さな虫を捕まえると巣に舞い戻ってきました。

 お母さんツバメは子供たちを巣立ちさせるのはまだ早いと思っていました。
 世の中にはたくさん危険なことがあると知ってほしかったのです。
 とくに好奇心旺盛なエマのことが心配でした。

 お母さんの心配をよそに、エマは早く飛びだしたいと思っていました。
 どんな危険なことも自分には追いつけない。
 自分の羽はとても強く美しいのだから。
 怖いこともあの空をどこまでも飛び続ければついてこられないはずだから。

 しかしある日のこと。
 エマが得意げに空を舞っていると、耳元に気を失いそうな音が飛びこみました。
 驚いて下を見ると人間が何かを自分に向けていました。
 そして巣は壊され、兄弟とお母さんは地面で動かなくなっていました。
 また大きな音と強い風がそばを通りぬけ、エマは大慌てでもっと高い空へと飛びあがりました。

 ふり向くともう人間の姿は見えなくなっていました。
 エマはきっと殺されてしまった兄弟とお母さんのことを想いました。
 もう会えないのだと気づくと、あとからあとから涙が溢れてきました。
 小さな雨を降らせながら当てもなく遠くへと飛び続けました。

 

更新日:2010-04-16 01:10:19

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