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さらば長谷川書店のオジジ

僕の部屋に入ってまず目を引くのが本棚です。
兄と共用の部屋には本棚が3つ。
一つは兄の本棚。
あとの二つは僕の本棚です。
二つともスライド式の本棚で(しかも3重スライド)、
前の棚も後ろの棚もギッチリと本が並んでいます。
本棚の重みで床が抜けるのではないかと言うのが家族の心配ごとになっています。

僕の持っている本は、主にアガサ・クリスティ、リリアン・J・ブラウン、アイザック・アシモフ、赤川次郎、内田康夫、横溝正史、星新一、佐々淳行、椎名誠、火浦功、清少納言、藤原道綱の母などなど。
好んで読むものはミステリー物が多いですが、その時の気分次第でハマるジャンルは様々です。
他の作家の本も沢山ありますが、先に述べた作家の作品はほぼ全巻揃っています。

特に気に入った本は一作品に付き二冊以上は持っています。
一冊は読み専用として、もう一冊は保存用としてビニールでラッピングした上から包装紙で更に包んで焼けを防ぎ、テープライターでタイトルを作り、背表紙にペタリと貼り、スライド式本棚の後ろの棚に保管。
読み専用の本がボロボロになり、新たに買い求めようとした時に、その本が絶版になっていて手に入らない時の為を思っての処置です。
もっとも、今までに保存用の封を解いた事はただの一度もありません。
読み専用の本がボロボロになり、新たに購入する時は古本屋巡りに出かけます。
ネットで探す事も出来るのだけれど、それだとあまりありがたみがありません。
何軒もの古本屋を巡り、やっと目的の本と出合えた時の喜びは一入です。
目的の本を探しながら思いがけない本との出会いもあります。
それが古本屋巡りの楽しみの一つでもあります。

古本屋にも色々あります。
今はテレビでCMを流しているような大手チェーン店もありますが、そう言った所を僕はあまり利用しません。
確かに在庫は豊富で、本の管理も行き届いていて、店内も明るいのですが、なんだか温かみがないように思えます。
僕が好きなのは、薄暗くて埃っぽい店内で、本も雑多に積まれているだけと言うお店。
店主のおじいさんがやる気なさそうに居眠りをしながら店番をしている……と言うお店が好きです。

そんな僕の理想に叶った古本屋が家の近所にあります。
「長谷川書店」
採光は入口からだけで、窓もなく電燈もない薄暗い店内。
床は「いつ掃除したんですかぁっ!?」と聞きたくなるくらいの状態。
だけど本には埃一つ付いていません。
棚なんかもごちゃまぜで、赤川次郎の隣に渡辺淳一が来ていたり太宰の隣にハーレクインロマンスが並んでいたりする、絵に描いたような雑多ぶりがたまりません。
大手チェーン店だと500円位する状態良しの古本が200円前後で売っていたり、売りモノにならないと跳ねているだろう状態の本も50円とかで売っていたりして、大変リーズナブルなお店です。
……強いて言うなら、最後のページに鉛筆書きとは言え値段が書かれてしまっているのが難なのですが、元々読み潰すつもりで買う訳だし、安く買えるならこれに越したことはないので、読み専用の本を買う時に必ず最初に足を運ぶお店が長谷川書店です。

更新日:2010-04-08 23:15:42

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