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第6話 深夜のハヤブサ
係の仕事で、充はすっかり遅くなってしまった。
もう空は暗い。
充は空を見上げると、授業中の出来事を思い出す。
流香は転校初日なため授業についていけずにいたが、充が出来るだけ分かりやすく授業内容を教えていた。
あの時、教えている度に心臓が速くなっているのが自分でも分かった。
武の言う通り、これが恋というものなのだろうか。
そう思いながら充は下校する。
しばらく歩いていると今にも消えそうなライトの前に差し掛かった。
あまりにもチカチカと点滅しているため、思わずライトを見上げてしまった。
「…ん?」
良く見るとライトの奥に何かの物体が動いている。
しばらく見ていると、それが何なのか分かった。
ハヤブサだ。
ハヤブサは少数だが日本中に生息しているため、別に不思議なことではないが、ハヤブサは夜行性ではないはずだ。
そう考えるとこの時間帯にハヤブサが現れるのは不思議なことだ。
充は首を傾げるが、考えるのを止めた。
「…早く帰らないといけないな…」
充は歩いて孤児院を目指す。
翌日、教室内。
「充君、おはよう」
流香は充に挨拶した。
「ああ、おはよう」
充は返す。
「あ、そういえば昨日。不思議なこと起こったんだ…」
「何かあったの?」
流香が尋ねる。
「夜、下校途中でハヤブサが飛んでいるのを見たんだ」
「…へ、へぇ…。そうなんだ…」
充の言葉を聞いて、流香は少しずつ目線を下げる。
そこに武が割って入ってきた。
「何だ?2人して何の話してんだ?」
「昨日の夜、ハヤブサを見たんだ」
「ハヤブサ?だから何だ?」
「………もう良いわ…」
武は途中から会話に参加したため、話の内容を理解していないようだ。
「私ちょっとトイレに行って来るね」
流香が席を外し、教室を後にした。
その後、男子生徒の会話が聞こえる。
「なあ、思ったんだけど、水野さんて結構可愛くない?俺タイプなんだけど」
「ああ、俺も俺も」
「…結構人気のようだな…」
男子の会話を聞いて充は呟く。
「ああ、他のクラスからも噂になってるぞ。美少女が現れたって」
「お前もその中の1人か?」
「いや、オイラは色気より食い気。手料理がおいしければ別にブサイクでも良いよ」
「…お前の場合は女じゃなくて料理に恋をしたんだな…」
充は呆れながら呟く。
「そんなことより、お前良いのか?ライバルいっぱいいるぞ?」
「何の?」
「恋のライバルだよ。言ったじゃないか。色々手伝うってさ~」
「俺も言ったはずだ。これ以上言うと容赦しないって…。…首引き裂くぞ?」
「そんなに怒るなよ~。それお前の悪いクセだぞ?」
「黙れ…」
すると、チャイムが鳴り始めた。
またいつも通りの生活が始まる。
また係の仕事で遅くなってしまった。
「また1人か…」
充は呟いていると、また同じ場所で飛んでいるハヤブサを見つけた。
「まさか連続で見るとはな…」
ハヤブサはその後、山の所まで飛んでいく。
しばらく見つめていると、突然銃声が聞こえ、それと同時にハヤブサが山の中腹に落ちていった。
「…まさか!」
充は山まで走り始める。
夜なため、山内はとても暗かった。
人が入らない山だからか、どこにも電灯が見当たらない。
「あのハヤブサはどこだ…?」
充は辺りを見渡す。
すると人影が見えた。
ばれないように充は草木などに隠れる。
良く見るとその人は狩人のようで、その手にはライフル銃が握られていた。
どうやらあいつが撃ったようだ。
「ここら辺に落ちたはずなんだが…」
狩人は呟く。
おそらくこいつはハヤブサを見つけたら間違いなく止めを刺すだろう。
「早く見つけなきゃな…」
充はその場を後にする。
あいつより早く見つけなければ…。
その言葉が強い意志として現れた。
「どこだ…?どこにいる…?」
充は立ち止まり、辺りを見渡す。
「…いた!」
そこは崖になっていて、その付近に左の翼が怪我しているハヤブサがうつぶせになって倒れていた。
ハヤブサは充の気配に気がついたのか、すぐに起き上がり、充に警戒する。
そして、崖から飛び降りた。
「待って!」
充は追いかけようとするが、飛べないため追いかけることが出来ない。
「…仕方がない…。そろそろ帰ろう…」
充はその場を後にする。
「あのハヤブサ…、怪我大丈夫なのか?」
「おはよう」
教室内で流香に声をかけられる。
「ああ、おはよう…ん?」
充は流香を見つめると、ある一点の所に目がいく。
左の二の腕の部分に包帯が巻かれていた。
「その腕…どうしたんだ?」
「ああこれ?ちょっと転んじゃって…」
転んだだけで包帯を巻くほどの傷は出来ない。
明らかに流香は何かを隠していた。
その時、充はハヤブサのことを思い出す。
ハヤブサは確か左の翼を撃たれていた。
充はふと思う。
流香はハヤブサのアニマルズなんじゃないのか…と。
もう空は暗い。
充は空を見上げると、授業中の出来事を思い出す。
流香は転校初日なため授業についていけずにいたが、充が出来るだけ分かりやすく授業内容を教えていた。
あの時、教えている度に心臓が速くなっているのが自分でも分かった。
武の言う通り、これが恋というものなのだろうか。
そう思いながら充は下校する。
しばらく歩いていると今にも消えそうなライトの前に差し掛かった。
あまりにもチカチカと点滅しているため、思わずライトを見上げてしまった。
「…ん?」
良く見るとライトの奥に何かの物体が動いている。
しばらく見ていると、それが何なのか分かった。
ハヤブサだ。
ハヤブサは少数だが日本中に生息しているため、別に不思議なことではないが、ハヤブサは夜行性ではないはずだ。
そう考えるとこの時間帯にハヤブサが現れるのは不思議なことだ。
充は首を傾げるが、考えるのを止めた。
「…早く帰らないといけないな…」
充は歩いて孤児院を目指す。
翌日、教室内。
「充君、おはよう」
流香は充に挨拶した。
「ああ、おはよう」
充は返す。
「あ、そういえば昨日。不思議なこと起こったんだ…」
「何かあったの?」
流香が尋ねる。
「夜、下校途中でハヤブサが飛んでいるのを見たんだ」
「…へ、へぇ…。そうなんだ…」
充の言葉を聞いて、流香は少しずつ目線を下げる。
そこに武が割って入ってきた。
「何だ?2人して何の話してんだ?」
「昨日の夜、ハヤブサを見たんだ」
「ハヤブサ?だから何だ?」
「………もう良いわ…」
武は途中から会話に参加したため、話の内容を理解していないようだ。
「私ちょっとトイレに行って来るね」
流香が席を外し、教室を後にした。
その後、男子生徒の会話が聞こえる。
「なあ、思ったんだけど、水野さんて結構可愛くない?俺タイプなんだけど」
「ああ、俺も俺も」
「…結構人気のようだな…」
男子の会話を聞いて充は呟く。
「ああ、他のクラスからも噂になってるぞ。美少女が現れたって」
「お前もその中の1人か?」
「いや、オイラは色気より食い気。手料理がおいしければ別にブサイクでも良いよ」
「…お前の場合は女じゃなくて料理に恋をしたんだな…」
充は呆れながら呟く。
「そんなことより、お前良いのか?ライバルいっぱいいるぞ?」
「何の?」
「恋のライバルだよ。言ったじゃないか。色々手伝うってさ~」
「俺も言ったはずだ。これ以上言うと容赦しないって…。…首引き裂くぞ?」
「そんなに怒るなよ~。それお前の悪いクセだぞ?」
「黙れ…」
すると、チャイムが鳴り始めた。
またいつも通りの生活が始まる。
また係の仕事で遅くなってしまった。
「また1人か…」
充は呟いていると、また同じ場所で飛んでいるハヤブサを見つけた。
「まさか連続で見るとはな…」
ハヤブサはその後、山の所まで飛んでいく。
しばらく見つめていると、突然銃声が聞こえ、それと同時にハヤブサが山の中腹に落ちていった。
「…まさか!」
充は山まで走り始める。
夜なため、山内はとても暗かった。
人が入らない山だからか、どこにも電灯が見当たらない。
「あのハヤブサはどこだ…?」
充は辺りを見渡す。
すると人影が見えた。
ばれないように充は草木などに隠れる。
良く見るとその人は狩人のようで、その手にはライフル銃が握られていた。
どうやらあいつが撃ったようだ。
「ここら辺に落ちたはずなんだが…」
狩人は呟く。
おそらくこいつはハヤブサを見つけたら間違いなく止めを刺すだろう。
「早く見つけなきゃな…」
充はその場を後にする。
あいつより早く見つけなければ…。
その言葉が強い意志として現れた。
「どこだ…?どこにいる…?」
充は立ち止まり、辺りを見渡す。
「…いた!」
そこは崖になっていて、その付近に左の翼が怪我しているハヤブサがうつぶせになって倒れていた。
ハヤブサは充の気配に気がついたのか、すぐに起き上がり、充に警戒する。
そして、崖から飛び降りた。
「待って!」
充は追いかけようとするが、飛べないため追いかけることが出来ない。
「…仕方がない…。そろそろ帰ろう…」
充はその場を後にする。
「あのハヤブサ…、怪我大丈夫なのか?」
「おはよう」
教室内で流香に声をかけられる。
「ああ、おはよう…ん?」
充は流香を見つめると、ある一点の所に目がいく。
左の二の腕の部分に包帯が巻かれていた。
「その腕…どうしたんだ?」
「ああこれ?ちょっと転んじゃって…」
転んだだけで包帯を巻くほどの傷は出来ない。
明らかに流香は何かを隠していた。
その時、充はハヤブサのことを思い出す。
ハヤブサは確か左の翼を撃たれていた。
充はふと思う。
流香はハヤブサのアニマルズなんじゃないのか…と。
更新日:2010-11-13 14:49:44