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「飛び乗った!」
ブッ!と俺は思わず飲んでいた味噌汁を吹き出しそうになった。
「零音、大丈夫!?」
眞衣姉さんがすかさず手吹きを出し、俺はゴホッゴホッとせき込む。
俺を見て、そんな虎子姉さんや祈織は「あーあ」みたいな顔をしている。
もちろんその”飛び乗った”の意味を多雪姉さん以外は普通に受け取った。
俺、なんで朝からこんなに緊張しないといけないんだ。

 朝8時、高校生組と中学生組は登校準備を済ませる。
新入生である俺と有留と明澄は今日からオリエンテーションがあるため、3年生組の祈織と多雪姉さんとは別の時間に登校することになる。
2人は学年が上がったのでオリエンテーションはなく、普通に始業式がある。
4日にあったのは合同入学式であって、2人も在校生でありながら式に参加したらしい。

 「ほら零音、祈織と多雪が行っちゃうわよ」
眞衣姉さんが俺の事を呼んでいる。これも一種のコミュニケーションの助けなんだろう。俺は眞衣姉さんに小さく「ありがとう」と言った後に玄関に向かった。
そこには今までの祈織とは違う、普通の中学生らしい祈織がいた
昨日はあんなだった祈織だが今日は元気に登校した。
「行ってきます、零音兄さん!」
「…おぅ!」
手を振って、俺に対して元気な声で。
祈織と一緒に多雪姉さんも家を出る。多雪姉さんは相変わらず落ち着いた感じ声で。

 10分後、俺達新1年生組も家を出る事に。
今回は新入生組で明澄も一緒にという事になり、俺と有留と明澄といった少し変わったメンバーで登校する事になった。
登校中、当然明澄は俺にベタベタくっついてくる。
「む~!明澄、零音にくっつきすぎじゃない?」
「そんな事ないもーん。そういう有留お姉ちゃんはどうなの?」
有留も何か対抗意識のようなものを燃やして俺にくっついてくる。
別に嫌じゃないんだけど、家の中ならともかく外では正直やめてもらいたい。
なんていうか、俺って言う事贅沢だな……。
「あのさ、有留。学校も近いしそろそろ離れてくれないとクラスのやつらに見られるからさ、色々厄介だしさ……」
「零音がそう言うなら離れるけど…、じゃあ明澄はいいっていうの?」

更新日:2010-05-29 22:11:08

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