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呪いノリノリ

 4月5日、日曜日のため今日は学校が休み。
2日前のように6姉妹と俺は家でのんびりする。しかも今日は日曜日のため眞衣姉さんも一緒だ。
と思いきや、仕事が突然入ってしまい急遽出勤する事になった。
結局眞衣姉さんを抜いての静かな休日がスタートする。
ところがここに一人、何やら落ち着かない妹が一人いた。

その妹とは祈織の事。バッグを持って外出するような服装をしているが、何やら俺のほうを見ながら険しい表情で何かブツブツと言ってる。
手の動きと言い、まるで何かを唱えているような感じだった。もちろん気になってしょうがない。なので俺は直接彼女に質問してみた。
「…あのさ祈織、さっきから何してるんだ?」
「呪い」
「呪い!?」
聞くところによると、祈織は覚えたての呪いを俺にかけているらしい。俺は実験台か!ってか呪いなんてそんなもの本当にあるのか!?
でもせっかく祈織から俺に近づいてきたのだからこのチャンスを無駄にしてはいけない。ここで少しでも互いの距離を縮めるんだ。

そんな俺の目には祈織が首から下げているペンダントが映った。そういえば俺がこの家に来た時から肌身離さず持っていたっけ。そんな大事なものなのかな。
とりあえずそのペンダントについて祈織に聞いてみる事にした。
「なぁ~祈織、そのペンダント素敵だな?」
と、おだてるように祈織の気を引くように言ってみた。
「っとぉ、このペンダントの良さが分かるようだね」
見事食いついた。しかし何故か上から目線なのだろう。
「これはね、大切な人から貰ったものなんだよ。私が迷ってる時その人は手を差し伸べてくれた、これは私の一番の宝物さ」
さっきまでのよく分からない感じとは違い、女の子らしく大切なものを見るような目でペンダントを手の上に優しく乗せている。
大切な人とは誰の事だろう、お母さんだろうか?
しかし、しつこく質問すれば彼女の機嫌を損ねるかもしれない。
そこまで俺は嫌な人間じゃない。俺は「そっか」と一言だけ返した。

 その後、外出準備を終えていた祈織はそのまま家を出ていく。一体どこへ行くのだろう。
その事についても気になった俺は近くにいた虎子姉さんに聞いてみる事にした。

更新日:2010-05-22 21:27:03

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