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 他の姉妹たちが当然のように自分の好きな事を始めるから仕方なく俺がやる事になる。今日から休日を除く毎日。
でもまぁ、俺はこの家に住ませて貰ってる身なんだからこれぐらいの事はして当然だけど。当然だけど……さ。
「あー、すっかり主夫きどりかー?姉さんに向かって机吹いといてとはなんだー?」
こういうところで姉の権限を利用するんだから、この人は。
でもそれはそれでちゃんと俺の事を弟として見てもらえてるわけだから嬉しいんだけど。嬉しいんだけど……さ。

 と、ガチャリと扉が開く音が静かに聞こえてきた、多雪さんが部屋に入ってくる。
「あら、すっかり仲良しなのね」
俺と虎子姉さんの様子を見てはその一言を残して、特にやる事がなかったのか明澄と一緒にテレビを見始める。
「ほんと、昨日の事が嘘みたいだねー。外で何があったの?」
テレビの合間にこちらを見ては明澄が聞いてくる。昨日虎子姉さんはヤンキーに絡まれてたところを俺が助けた、という事を言ってくれたがその事を明澄はあまり認識してないらしい。
それに対して虎子さんは急に恥ずかしそうな顔をして黙り込んでしまう。このままじゃなんか誤解されてしまう、俺がなんとか答えなきゃ。

 思いついた言葉はやはりあの事だ。それは姉さんが必死になって探しに来てくれた事や助けてくれた事など。
でも一応口止めされてるけど……、仕方ないよな。
「え、えーと、俺が自殺未遂に追い込まれていたところを姉さんに助けられたというか…、なんていうか……」
「自殺!?自殺しようとしたの!?」
明澄がいきなり叫ぶ。もちろんその大声で他の姉妹たちも何事かと思い反応する。

「自殺だって!?」
「自殺、天より与えられし命を自ら絶つ事!!神に申し訳ないと思わんのか!!」
有留が飛び上がるように起き上がって祈織が部屋に駆けこんでくる。明澄に負けず劣らずの大声で。

「い、いや未遂だし自殺というにはほど遠い事だったし……」
「零音!お前何で言うんだよ!!」
面倒事というのはこういう事だったのか、これまたみんな絡んでくること絡んでくること。特に祈織からの絡みが尋常じゃない。

更新日:2010-06-28 21:45:19

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