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望まれた行き先

 3日目。また昨日のような清々しい朝がやってきた。
俺はぱっちりと目が覚め、体をうーんと伸ばす。よしっ、今日も絶好調だ。
昨日は結構痛い思いをしたがアザもできてないし、問題ないだろう。
時間は…、うん丁度いい時間だ。朝食用意には間に合わなかったが、みんなで揃って朝食には間に合うだろう。
 そのまま俺は布団から出ようとした。だがそんな俺のところにタイミングよく、あの人が飛び込んできた。
「おらー、零音起きろー!!」
「と、虎子姉さん!?」
バンッとドアを叩くように部屋に入ってきては、いきなり布団をはいで俺をベッドから叩き落とした。
自分で起きようとしてたのに何してるんだこの人は。
「一人で起きられるって…」
俺は床にうつ伏せに近い状態で虎子姉さんに言う。
「もうみんな起きてんだ、さっさとしろ!」
そのまま剥いだ布団を俺に投げ捨てるようにして被せてくる。その布団を今度は自分で剥いで一人で起き上がった。
俺への接し方は変わったけど、その他は相変わらずな虎子姉さん。俺はなんだか安心した。

 と、扉のほうを見ればそこには虎子姉さんの声を聞いたのか、部屋に入ってきた多雪さんの姿があった。
「……騒がしいんだけど?」
「多雪ぃ~。お前もなんか言ってやれよ、寝坊君にさぁ」

 俺を指差しながら話を多雪さんにも振る。だが多雪さんは俺をジッと2秒くらい見てきた。
なんだろ、どんな事を言われるんだろう…。
「興味ない」
その一言を残して部屋を出て行った。冷たい。春なのに冷たいよ多雪さん。
で、この人が今日の攻略対象なんだが、虎子姉さんほど俺の話が通じるような相手じゃない気がする。
さて、どうしたものか……。

 昨日とは少し変わった朝食、なぜなら虎子姉さんが俺にちょっかいを出してくるからだ。
あんなに俺を毛嫌いしていたのに構ってくれるという事に関して嬉しいといえば嬉しいが、さすがに少し嫌になってくる事もある。っていうか姉さんそんなキャラだっけ?
と思わせるくらい俺に構ってくる。

更新日:2010-06-28 21:44:47

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