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マイファミリー

 星名零音、高校1年生になる直前の春に父親が他界。生前、その父からとある一家と同居する事が決定した事を知らされる。
数日経ってその家に訪れた零音はその家に住む7姉妹と初対面をする。ところがお互い素性を知らない7姉妹と零音はその同居の話に関して戸惑い始める。
お互い話をした後、とりあえず同居に関してはただ1人(七ツ矢虎子)を除いては許しをもらえた。といっても半分以上がどうでもいいと捉えているが。
それにしても正直言って親の都合で決定した事に口出しできなかった零音たちはどうなのだろうか。
そんな7姉妹と1人の対面初日の午後、自己紹介から始まる生活。
とかなんとか客観的に自分の事を振り返ってみました。改めてみると結構大変だな俺達…。

「一番小さいのが七女の芽呂、ツインテールで童顔なのが六女の明澄、いろいろ難しい事言ってメガネかけてるのが五女の祈織、俺と同年齢なのが四女の有留、物静かなのが三女の多雪さん、よく喋るのが次女の虎子さん、そしてしっかりした長女の眞衣さん、ですね」
「そんなしっかりだなんて…。覚えるのは大変だと思うけど宜しくね零音君」
ニコッと優しい笑顔を見せてくる眞衣さん。さすが7姉妹の長女だけあってこんな状況でもしっかりとしている。
改めて7姉妹の顔を見て確認する。眞衣さんは覚えるのは大変って言ったけど正直俺自身はもう全員の名前と顔と特徴を覚えた。
だってものすごく個性的すぎるもん。

「悪かったな、しっかりしてなくてよく喋って」
ムスッとした顔で、胡坐をかいていた次女の虎子さんが俺に向かって言ってきた。いや、そういう意味で言ったんじゃないんだけどなぁ…。
そんな虎子さんはまたも立ち上り、そのまま部屋を出て行こうとしていた。
「虎姉ぇ、どこ行くの?」
虎子さんが扉に手をかけたところで呼び止める四女の有留。質問に対して一旦足を止めては俺のほうを見ながら口を開いてきた。
「あーあー、出て行くんだよ。こんなんのと一緒に暮らせるかっての!お前らもそうだろ!」
こんなんの、と言いながら俺を見下すかのように指差してくる虎子さん。
「まぁね」
同じく三女の多雪さんが共感を持つ。こちらは目も合わせてくれず。

 やっぱいきなり異性が、しかも女性だらけの空間に一人年頃の男が入るのを受け入れられるのは、心が広い人か空気を読めないやつぐらいしかいないだろうし。
「えー、別にいいんじゃない?一人ぐらい増えるの」

更新日:2010-06-28 21:28:01

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