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バースデイズマイン

 4月30日、俺がこの家に来てから1カ月近く経とうしていた。
そんな日の午後、学校から帰ってきて間もない時間の姉妹達はある事でそわそわしている。
4月が終わりだから?それもあるがもっと他に大事な事がある。
そう、それは明日にある。明日といえば5月1日、その5月1日は……。

「眞衣姉さんの誕生日なのさ!!」
一人勝手に叫ぶ虎子姉さん、その周りにはいつもの姉妹たちと俺がいる。
だがここに一人欠ける人物が。それは明日誕生日を迎える眞衣姉さん本人である。
それはまだ姉さんが仕事中だから、それに俺達はいつもより少し早めに帰ってきたから。
そんな七ツ矢眞衣ビックリ誕生日会準備は、虎子姉さんの一言により開会となった。

「明日……、なんだよなぁ」
もちろん明日が眞衣姉さんの誕生日なんて俺は今朝初めて知った事実。
なぜ知らなかったかと言うと七ツ矢家では定番の"聞かなかった"だから。
そうさ、聞かなかった俺が悪いのさ。
「そう、明日!日頃ものすごーく世話になってる眞衣姉さんを祝うために、今年は私たちでビックリ誕生日会を開くのさ!そしてこれからその準備をするんだよ!」
虎子姉さんのテンションに便乗するかのように有留まで叫び出した。
2人のテンションにはついていけないも、相手が眞衣姉さんともなるとあの多雪姉さんや芽呂でさえ共感を持つ。
しかし今日これから準備するって…、時間結構厳しくないか?

「毎年こんな感じなの?」
丁度隣にいた祈織にこの誕生日会について聞いてみた。
「うーん。毎年ってわけじゃないんだけど、今年はほらお母さんがいないからさ……、私ら妹達がちゃんと祝ってあげないとね」
その一言でさっきまで元気だった虎子姉さんと有留も静かになった。
祈織はなんだか「しまった!」みたいな顔をして、慌てだす。

 こういうときは俺がこの空気を断ち切らなきゃな、まずは話題を戻そう。
「と、とにかく俺も眞衣姉さんにはすっごく世話になってるから誕生日は盛大にやらないとな!」
「そ、そうだよ!特に今回は零音の料理がメイン!もちろんケーキも手作りの方向で!」
有留がものすごい期待のまなざしを俺に向けてくる。もちろんその発言から祈織や明澄もキラキラ光線を発してきた。
うっ、妹たちの純粋な眼差しが眩しい…。あれ?やっぱ俺ってロリコン……?

更新日:2010-07-17 23:02:23

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