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零から始める少年

 突然、何の前触れもなく女の子と一緒に過ごせる環境なんてできるものじゃない。
家が隣同士だからって毎朝起こしに来てくれたりご飯を一緒に食べたり。
一人暮らしの中離れて暮らしている父親が義妹を連れてきて2人だけで一緒に暮らす事になったり。
学園のアイドル的存在のお嬢様の秘密を知っちゃって、2人だけの秘密の関係になったり。
幼き頃に家が勝手に決めた許嫁が今になって発育良好な体で迎えに来たり。
意味もなくハーレム環境になってしまったり……。

そんな物語は漫画やドラマの中だけだと思っていた。それはSFのような現実にはありえない架空の物語だと思っていた。
思っていた、それは過去形。よく考えたら世の中にはそんな環境はごくわずかだがないわけではない。


 そんな話はさておき、今俺の前には7人の女の子がいる。みんな不思議なものを見るような目で俺を見てくる。
それは俺も同じな事。なぜこんな事になったのか、どうしてお互い見ず知らずの人が同じ家にいるのか。
お互いどんな事が脳内を駆け巡っているのか。
多分同じ事を思ってるに違いない。
「この人は誰だ?」
そんな事を。


 3月のあの日、それが全ての始まりだったのかもしれない。

 星名零音、それが俺の名前。一言簡単に読めない名前である。
上は「ほしな」で下はゼロのオト、それで「レイン」と読む。結構無理やりな気もするがこれも立派に親がつけてくれた名前。どういう意味が込められてるかは知らない
間違っても雨の英語である「rain」ではないだろう。
基本的に小学校や中学校のとき、理科の実験などでレポート提出の際に班員が俺の名前を書くとき、いちいち俺に聞いてくる事はほぼ毎回と言ってあった。
「星名~、下のレインってどう書くんだっけ?」
それが決まって俺への質問。特に小学校の理科の先生は頑固にもフルネームを強要してきたからこの質問が毎週といっていいほどあった。
もちろんそれは先生も同じ事。進級する度、担任が変わる度に俺の名前のところでひっかかってしまう。

更新日:2010-06-28 21:00:04

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