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召喚獣

ティナは思いかえるようにゆっくりとしゃべる。

まず、私は普通の人間ではない。
話はそこから始まった。
私はいわゆる・・・、人間達の言葉で表現すると召喚されるもの
っていう表現があってると思います。

「召喚獣・・・?」

シンは思わず口に出す。
召喚獣。僕の記憶ではよくゲームかなんかに出てくる。
召喚者(呼び出すもの)の呼びかけに応じるかのように
突如その場に現れるもの、それが召喚獣。
召喚獣と言っても、獣やモンスターだけではなく、人型のやつもいる。

その表現があっていると思いますよ。
そうティナはうなずく。
次にティナが口に出したのは、僕の部屋に突然現れた、いきさつ。

「今よりおそらくずっと昔、召喚大戦というものがあったんです。
その戦いは世界中にいる召喚獣たちが、ある強大な魔獣と
戦うというものでした。魔獣たちは闇をつかさどる力で
今いるこの世界を混沌に変える、それが目的でした・・・。
私たち召喚獣は人と異なる次元にいても、人と共存することに
よって生きていられる・・・。だから世界を混沌に包まれるわけにはいかない。
その戦いは10年にも及んで、ようやく召喚獣たちが勝利を収めて
世界と混沌から救うことができました。それに伴い私たち召喚獣も
役目を終えて、自ら封印をして眠りについたんです。
でも・・・、その封印は解かれてしまった」

僕はその話を聞いてあわてる。

「ちょっと待って、それって僕が羽に触ったから!?」

ティナはクスッと笑いながらそれを否定する。

「違いますよ、シンさんが羽に触ったときたまたま同じ
 タイミングで私の封印が解けたんですよ」

タイミングの偶然だと知って僕は一安心する。
でも、素朴な質問が浮かぶ。しかも・・・、僕はその回答を
予想できてしまう。でも、聞かないといけない。

「ティナさん・・・、その、封印が解かれたってその、つまり・・・」

ティナの表情が曇る。
・・・、予想通りの返答だった。
悪しき魔獣が復活した。
それに誘発して召喚獣たちの封印も解除された。
つまり、今いる世界が危機に直面しているということ。
不思議にも、嘘だとは思わなかった。
それほどティナの言葉に説得力があったのかもしれない。

「嘘だって、思わないんですね。」

僕は驚いた。一瞬心を見透かされたんじゃないかと思ったから。

「すごい説得力あるし・・・それにナイフも」
「わぁ、あのナイフはその、つい反射で・・・、すいません!」

よほど僕にナイフを突きつけたのを申し訳なく思っていたのか
すごい勢いで謝ってくる。さすがにいつまでも引きずるものあれなので
僕は話を変えてみることにした。

「でも、召喚獣って、召喚者がいて成り立つものじゃないのかな?」

そう質問するとティナは難しそうな顔をする。
なんでも、昔のころは人間と別の次元にいたので、人間の協力を
得なくても能力は発揮できたようなのだが
現代に封印を解かれたティナは人間と一緒の次元に位置するため
今回ばかりは人間と協力を得なければいけないらしい。
そのためにはどうやら契約とかをしないといけないらしいけど・・・・。

更新日:2010-03-30 13:14:46

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