• 18 / 19 ページ

終章

「あすみ姉ちゃんは結婚しないのか?」

「ちょっと、健ちゃん!」

「いや、だってよ。これだけ綺麗なんだぜ?」

「健二兄さんは相変わらずだね。杏姉ちゃんが苦労するわけだ」

「ふふ……私はもう結婚してるわよ?」

「え?」

私の言葉に三人はピタリと動きを止める。
あれから幾度も四季が巡っていった。
現在杏ちゃんと健二君は大学生。
太一君は高校生になった。

「ほら」

薬指にある指輪を見せる。

「あ、あいては? 結婚式は?」

「必要ないというより、出来なかったの」

「姉ちゃん」

「健二君は私の心配より自分の心配。ちゃんと杏ちゃんのヒーロー?」

「な、なんで俺が杏なんかと!」

「……脈無し?」

「恥ずかしがっているだけよ」

い、いやでもと言いながら健二君は悩んでいる。
杏ちゃん。もう一押しよ。

「太一君は?」

「それどころじゃないです。来年は受験ですから」

「どこを受験するの?」

「国立の医科大学です。さすがに難しいですけど」

「そう、頑張ってね」

更新日:2009-02-08 23:29:20

  • Twitter
  • LINE
  • Facebook