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2th  神無月(かんなづき)

「おー、ここが教団かぁー。」
「ここで働くのかー。」
「「たのしそ。」」

顔も髪型も声色もすべてが同じな二人組が教会の前で歓声をあげた。
唯一違うところといえば、二人のイメージカラーだろう。
片方は、赤を基調とした服に紅い花がついた帽子、黒い靴。
片方は、青を基調とした服に蒼い花が付いた帽子、白い靴。
二人は顔を合わせて”ニッ”と笑うと重そうなドアを押した。

「じゃ、エクソシストとして、」
「あ。これうまいー。」「え、ちょーだいちょーだい!」
「働いてもらうのだが、」
「のどかわいたー」「向こうにオレンジジュースあったよ。」
「自己紹介を、」
「あ。ねむくなってきちゃった。」「あたしもー。」
「してもらいます!」

司会の男が大声で叫ぶと、二人はピアスを揺らして立ち上がった。

「赤があたし、アンジー・ユーマ、姉でーす。」
「青があたし、ナンシー・ユーマ、妹でーす。」
「アンジーと」「ナンシーって呼んでね。」

二人は同時に、ニコリと笑って帽子を取りお辞儀をした。


「へー、アンジーちゃんとナンシーちゃんだって。」
「おもしろそーさぁー。」
「フン。くだらない。」
「仲よくしましょうね。」

それを聞いたアンジーとナンシーはニヤリと口角をつり上げて笑った。

更新日:2010-03-10 23:06:16

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