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15.海底洞窟

そんなことを思いながら宇宙空間に飛び出してまもなくの時、ププゥと警告音がなって、目の前のピカピカの茶色の壁に映像が現れた。
ユニヴァだ。目をぱちくりさせている。
「隣にいるのよ、シェードを上げてみて。」
シェードを上げると、僕らの車のすぐ隣にユニヴァが乗っている黒い車が、僕らと反対方向を向いて宇宙空間に浮いている。
ユニヴァは流し目で僕らの方をチラと見た。
それからまた映像のユニヴァが言った。
「レモン星へ帰るの?あたしの家に寄ってけばいいのに。」
クーさんが僕の顔を見たのでうなずくと、クーさんはユニヴァの映像に向かって「オーケイ。」と言った。
そして隣の車のユニヴァを見てみると、こちらに向かって口まで開けてウィンクしてからシェードを閉めてさっさっと出発してしまった。
僕らの車は大きくUターンしてユニヴァの車を追いかけた。
ちゅら星の大気圏に入ると、またユニヴァの映像が現れた。
「海に行こうよ!海水浴ドームで待ってて、すぐ行くから。」
クーさんは「海水浴ドーム」と車に告げた。

2年ぶりに来た海水浴のドームだけれど、相変わらずすぐそこの売店には黄色い水玉の海水パンツが売られていた。
幸い僕らは毬藻プールの帰りなので、海水パンツは持ち合わせていた。
すっかり着替えてユニヴァを待ちわびていると、車付き場にユニヴァの黒い車が現れた。
扉が開くと中から黄色いビキニを着けた赤いクマが出てきた。
それから続いてイルカの着ぐるみが現れた。
イルカの着ぐるみは「おまたせぴょ~ん。」と変な挨拶をしながらこちらに寄って来た。
イルカの喉の辺りの穴から出ている顔はユニヴァだ。
左右の鰭の下からは腕が出ていて、尾鰭の下からは足が出ている状態だ。
「あの赤いクマちゃんはあたしの友達だよ。」とユニヴァが後ろの方で恥ずかしそうにしていた赤いクマを指すと、赤いクマはちょこちょことこちらに寄ってきて笑った。
それから僕ら4名はドームの外の海に出て行った。

更新日:2008-11-29 14:52:13

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