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突然車のドアが開いた。
そこはどうやら室内らしい、車はモコモコのピンク色のじゅうたんの上に停まっている。
僕が車から出て、じゅうたんの上に降り立って辺りを見回すまもなく、スピッツの着ぐるみを着た女の子からシャンパングラスを手渡された。
クーさんもプードルの着ぐるみからシャンパングラスを受け取っていた。
クーさんが僕に手招きをして歩き出したので、僕はクーさんの後を追いかけた。
クーさんは、おしゃべりに夢中な人たちを、次々すり抜けて白いぴかぴかの扉があるところにたどり着いた。
僕も遅れてたどり着くと、それを見計らって、クーさんがその扉をノックした。
クーさんはダイヤモンドの蝶ネクタイをササッと整えた。
すぐに扉は内側に開き、クーさんが目で合図をしたので一緒に中に入った。
部屋の中は真っ白な光に満たされていて、キャンディーみたいな香りが漂っている。
しばらくたたずんでいると、一面の白世界の一部がぽっかり開いて、中からヒヨコのぬいぐるみが顔を出した。
「ピヨピヨー!」
すぐにヒヨコはひっこんでヒヨコが出てきた穴もふさがって、また一面真っ白になった。
またぽっかり穴が開くと、今度は緑色のワニが顔を出して「ガオガオ!」と叫び消えていった。
この状況についてクーさんに質問しようとした時、霧が晴れるように視界が広がり、僕らは応接室らしきところにいた。床はピカピカの白い床で歩くとコツコツ音がする。
壁は黄色でさっきのピンクのじゅうたんに似ている。
触るとぬいぐるみみたいにモコモコしているのだ。
突き当たりは一面窓になっていて、青空と入道雲だけが見えた。
僕らはふかふかの空色のソファアに腰掛けた。まるで雲に乗っている気分だ。
「誰かを待っているの?」
「まずはユニヴァに誕生日おめでとうを言わないとね。」
僕はユニヴァってどんな感じの人だろうとワクワクした。

更新日:2008-11-27 11:36:41

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