• 32 / 412 ページ
それからいくつかの温泉をまわり、夜になってしまった。
「泊まっていこうか?」とクーさんが言うので、そうすることにした。
ロビーで再度パネルを押して、指示された11番ゲートを入ると毛布の棚があったので一枚取って進んだ。
先のガラス扉を出ると、湯煙でかすんでいるので、間違って温泉に案内されてしまったのではないかと思った。
先に進むと煙は晴れた。一面に大きめの岩が引き詰められていて、思い思いの場所を陣取り毛布に包まっているのである。
岩にあがってみると、岩自体がほんのり温かい。
僕らも一つの岩を陣取り毛布に包まって、流れ星を数えながら眠りについた。

目を覚ますと眩しい朝日に照らされていた。
それからパウダールームに入り、備え付けの洗面用具で顔を洗い、歯を磨いた。
一つ隣の洗面台には明るいグリーンのクマが歯を磨いていた。
こちらを向いたので「おはよう。」と言ってみた。
「まだ寒いのに冬眠から覚めちゃったから、春までここで過ごすんだ。」
それからその日はクマと三人でお昼過ぎまで温泉を回り、温泉まんじゅうのお土産を持って帰途についたのだった。

更新日:2008-11-28 16:10:49

  • Twitter
  • LINE
  • Facebook