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小説

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8.温泉と半透明人間

レモン星もだいぶ寒くなった頃、僕とクーさんはちゅら星旅行に出かけた。
温泉のあるドームへ行くのだ。
車を降りたが一瞬は煙に覆われていて何も見えない。
煙がすっと引くと、目の前には大きな石のライオンが口をあけていて、そこから大量の温泉が噴出している。
大理石で装飾された立派な建物があり、僕らはその中へ入って行った。
中はホテルのロビーのようになっていて、クーさんは受付に進んで行った。
受付にはいくつかのパネルがあって、クーさんはパネルに表示されているレモン星のマークとゴディ星のマークに触れた。
パネルには「4番ゲート」と表示された。
4番ゲートに入ると、バスローブの棚があり、僕らも一つ取った。
更衣室で裸になり、その後シールドルームを通ると僕らは半透明人間になった。
僕が初めての体験に驚いて身体を見回しているうちに、クーさんは温泉の方へ行ってしまっていた。
あわてて温泉の方へ行ってみたのだが、湯煙でかすんでいる上に、そこらじゅう半透明人間ばかりで見分けがつきにくいのだ。
「ぴーちゃん。」と呼ばれて、やっと温泉のふちに立っているクーさんの面影の半透明人間を見つけた。
「なまえがあってよかったね。」とクーさんは言って、ゆっくりと温泉に入って行った。
温泉はややぬるめで、白濁した色をしている。
そのせいで半透明人間化している客達は、ほとんどお互いが気にならないのだ。
湯煙に透けるようにドーム越しの青空が見えて気持ちがいい。
時々湯煙が晴れると遠くに噴水のように温泉が噴出しているのが見える。
温泉は湖ぐらいにとても広いのか、またはそのように演出されている。
僕は半透明の手を水中で動かしてみた。
「クルミ餅の半透明人間もシールドなのかなぁ?」
「あれはただの恥ずかしがり屋だよ。ユニヴァと同じ人種さ。」
変身が得意な人種なのだろう。
「レモン星にもあの人種はけっこうたくさん住んでいるよ。もっぱらお化けとまちがわれているけどね。」
僕は最近レモン星で騒ぎになった怪奇事件も、きっとユニヴァの人種の仕業なのだと納得することができた。

更新日:2008-11-28 16:09:26