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小説

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7.なまえ

ある時クーさんが訊いた。
「外宇宙に行く時は、何かなまえみたいなのがあると便利だと思わない?」
僕らレモン星人の間では、親しい人や必要に応じてはほとんどテレパシーで会話するので、なまえをなのったり呼んだりする必要がないのだ。たぶんゴディ星でも、ちゅら星でも、同じ星の住人同士はテレパシーのような方法でコミュニケーションをとっているはずだ。
せいぜいお気に入りのマークを自己表記に使うくらいだ。
ただし公共的にはプライバシーの問題などがあるのでメールを使うのが普通なのだ。
ニックネームを使うことは必要ないので考えたことなどない。
メールのアドレス番号をなまえの代わりに使うこともあるが、僕のようにゴロがあまりよくなかったり数字ばかりの場合は名前として使いたくなかったりするのだ。
例えば僕の貝細工ショップはなまえは無いけれど、海王星のマークに似たようなトレードマークで通っている。
しかし最近の僕はちゅら星やゴディ星への旅行が増えてきて、やはり発音できるなまえのない不便さを感じる。
「クーさんは、なぜクーさんと呼ばれるの?」
「銀河倶楽部に銀河共通名を請求したのさ。」
「銀河倶楽部?」
「この銀河の役所みたいなところだよ。」
僕はそんなものがこの宇宙に存在することを今の今まで知らなかった。
「レモン星人はまだあまり外宇宙に出ていないので、一般の人は知らないのが普通だよ。それになまえが無くても外宇宙旅行はできるしね。」
「それで、そこに請求すれば誰でもなまえがもらえるの?」
「もちろん。キミの波動紋リズムをこの銀河領域のどこでも理解できる音程のなまえに置き換えるだけだからね。」
「クーさんの波動紋はこの銀河の音程にすると『クー』なんだね。」
クーさんは黙ってうなずいた。

更新日:2008-11-27 17:03:30