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 「じゃ反対の耳を・・・」

魅録が体勢を変えたところで

 「わんっわんっわん!」

 「わ!やめろ」

 「きゃあ」

肉を食べ終えた男山が魅録にのしかかる。



 「っだよ!おまえはもう掃除してもらっただろっっっ!」

 「わんっわんっわんっ!」 

男同士のにらみ合い。

格闘開始。もうだれにも止められない。



結局、夢の耳かきは片耳を残してあえなく終了。



 「じゃあ、続きは学校でします?これさえあればいつでもできますものね」
 

 (そんな!それはないだろ、野梨子。学校でなんて!)


 「い、いや野梨子。も、もしウワサが広まってみろ。野梨子の耳かき目当てに

  長蛇の列だぞ。いや間違いなく追っかけられるぜ!」 必死の説得。


思わず想像したのか野梨子はフッと笑った。


 「・・・じゃあ、また男山の耳掃除のついでにやってさしあげますわね」


 「お、おう」



 (ホッ。誇張して言ってよかった。いや。実際そうなるだろうけど。

  ん?もし、オレが耳かきしてもらったことが清四郎にばれたら・・・

  やっぱまずいか?野梨子に口止めするか?でもなんて言うんだよ。

  ふっ二人の秘密に・・・あああ~そんなこと言えん。。。)


迷って迷って魅録の口から出たのは

 「・・・じゃまた明日な。今日はサンキュー」


百面相の魅録を不思議そうに見つめながら、野梨子は仲の良い(?)
 
一人と一匹を見送ったのでした。

更新日:2010-06-10 12:40:57

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