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「あら男山、お耳が汚れてますわよ。ちょっと待って・・・」
ティッシュを取ろうとするのを魅録があわてて止めた。
「ダメなんだ。野梨子。こいつ耳掃除大嫌いで、毎回大騒ぎなん・・・ん?」
もう野梨子が掃除にとりかかっている。
「男山、それではもてませんわよ。じっとして。そうですわ。おりこうですわー。
ほらもうおしまい」 微笑む野梨子。
「なんかいいなあ」 つぶやく美童。
ハッと我に返った魅録はまゆをつり上げた。
「こらあ!男山!!いつものあの嫌がり方はなんだったんだよ。
いい加減離れろっ!!!」
さすがの男山も殺気を感じてまた机の下にもぐりこむ。
「あ、ありがと、野梨子」
「どういたしまして。私、今日から男山のお耳掃除担当ですわね」 にっこり。
結局男山の注射に野梨子も同行することになり、わがまま犬はすっかり
おとなしくなった。
清四郎は帰り際、魅録に近付いて言った。
「じゃ、帰りは頼みますよ」
もちろん野梨子のことだ。
その声から感じられるある種の余裕。
清四郎の視線だけがどこまでもついてくるような気がした。
「男山、よくがんばりましたわ。確か昨日いいお肉が届いてたから、
寄っていきませんこと?ごほうびですわ」
目はキラキラ、ちぎれんばかりに尻尾を振る男山。
「まったく・・・飼い主にどれだけ恥ずかしい思いをさせれば気が済むんだよ」
「あら、男山は本能に忠実なだけですわ」
「本能ねぇ」
玄関の脇から中庭に続く道を歩く。
石と緑と水に囲まれた中庭を一望できる縁側があり、
家の中からは畳とお香の香り。
和風な家ならではの清々しさを感じる。
「男山、ちょっと待っててくださいね」
「クゥゥゥ」期待のまなざし。
「オマエ、よだれ垂らすなって!!」
(ホントに兄弟みたいですわ)
野梨子は台所に急ぎながら笑った。
ティッシュを取ろうとするのを魅録があわてて止めた。
「ダメなんだ。野梨子。こいつ耳掃除大嫌いで、毎回大騒ぎなん・・・ん?」
もう野梨子が掃除にとりかかっている。
「男山、それではもてませんわよ。じっとして。そうですわ。おりこうですわー。
ほらもうおしまい」 微笑む野梨子。
「なんかいいなあ」 つぶやく美童。
ハッと我に返った魅録はまゆをつり上げた。
「こらあ!男山!!いつものあの嫌がり方はなんだったんだよ。
いい加減離れろっ!!!」
さすがの男山も殺気を感じてまた机の下にもぐりこむ。
「あ、ありがと、野梨子」
「どういたしまして。私、今日から男山のお耳掃除担当ですわね」 にっこり。
結局男山の注射に野梨子も同行することになり、わがまま犬はすっかり
おとなしくなった。
清四郎は帰り際、魅録に近付いて言った。
「じゃ、帰りは頼みますよ」
もちろん野梨子のことだ。
その声から感じられるある種の余裕。
清四郎の視線だけがどこまでもついてくるような気がした。
「男山、よくがんばりましたわ。確か昨日いいお肉が届いてたから、
寄っていきませんこと?ごほうびですわ」
目はキラキラ、ちぎれんばかりに尻尾を振る男山。
「まったく・・・飼い主にどれだけ恥ずかしい思いをさせれば気が済むんだよ」
「あら、男山は本能に忠実なだけですわ」
「本能ねぇ」
玄関の脇から中庭に続く道を歩く。
石と緑と水に囲まれた中庭を一望できる縁側があり、
家の中からは畳とお香の香り。
和風な家ならではの清々しさを感じる。
「男山、ちょっと待っててくださいね」
「クゥゥゥ」期待のまなざし。
「オマエ、よだれ垂らすなって!!」
(ホントに兄弟みたいですわ)
野梨子は台所に急ぎながら笑った。
更新日:2010-06-10 12:31:36