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 「あ~もぉダメ、野梨子。。。限界だぁ。なんか・・・なんか食わせて~」

机にあごをのせたまま情けない声を出す。


 「悠理、まだ始めてから30分ですわよ」


 「減るもんは減るんだいっ!」

深ーいため息をついて野梨子が折れた。


 「じゃあ、コーヒー入れて差し上げますから、その間にこのページを

  終わらせますのよ」


 「やたっ!お菓子つきね!野梨子!」


野梨子は廊下続きにあるミニッキッチンに向かった。



 「コーヒーコーヒー・・・あら珍しい!手動のミルですわ」

ひとりごとをいいながらミルをしげしげと見つめ、使ってみることにした。


ゴリゴリゴリ・・・


思った以上に豆を挽くには力がいる。

すると背後声がした。


 「悠理にあまいな、野梨子は」 振り返ると清四郎が微笑んでいる。


 「でも・・・悠理は食べ物でつらないと先にすすみませんわ」


再び野梨子は前のめりになってミルに力をこめる。


その後姿を見ていた清四郎は、野梨子の肩を両手で持って横にずらした。


「僕が挽きましょう」

更新日:2010-06-10 12:16:10

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