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そこへ ♪ プルルルプルルル・・・ ♪

 「あら?私の携帯ですわね。ちょっと失礼しますわ」

急いで耳に当てる。

 「もしもし。。。ええ、じゃあ正門で。。。分かりましたわ」

携帯を握ったまま立ち上がる。

 「あの・・・私、行かなくては。えっとお茶のおかわりはまた

  今度でいいかしら?」



 ( 電話は清四郎からとみえみえなのに何も言わない野梨子。

   さっきの話の続きよりお茶のことを気にしている野梨子。

   そうさ、二人の間にはオレの知らない時間が積み重なってるんだ・・・

   オレはどうすればいいか知ってる)



 「いいよ、急いで転ぶなよ」

野梨子があたふたと出て行く。


パタン・・・ドアが閉まったと同時に、苦笑いしていた魅録の顔が急に冷める。


 ( これがオレの気持ち、なのか。。。 )


湯のみに残っていたお茶をイッキに飲み干した。


こうして青筋事件は一見収拾したようで、別の枝を伸ばしかけていた。



更新日:2010-06-10 12:08:48

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