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『陰鬱な吹雪の1日だった』

陰鬱な吹雪の1日だった

もう4月も近いというのに

緑色の袖のドレスを着ているという 春の女神は

いったいどこに寄り道しているのだろう


いつまでも冬の女神の

白い婚礼衣装が(或は死に装束が)

窓の外を覆っているよ

その冷たい指で

窓のふちをなぞるから

窓が冷たい汗をかく



遠い夏に流行った

不埒な歌をかけてみるけれど

あの頃 陽気だった木曜ごとの深夜ラジオも

今はもう 終わって久しくて



僕らの夏はどこにいったんだろう

懐かしい歌声にはイコライザーがかかってて

今はもっと上手くなってしまった力強い歌が

違うアレンジのサウンドに乗っかって

女の子みたいに可愛かったきみも

すっかりおじさんだね



鬱々と夕暮れを迎えたよ

可愛い卒業生たちが

吹雪の中を遊びに行った

貴重な春休みだものね

多い人でも生涯3度きりの

空白のインターミッション

悪さするんじゃないよ子供たち

せっかく貰った卒業証書

大事にしなさい 



そんな当たり前の物すらも

あきらめた子もいるのだから…



あの子はどこへ行ったのかな

新しい白ガチャがはじまったのに

きみがいないと寂しいと

ボクの友達が

嘆いていたよ

どうして可愛い子ってすぐいなくなっちゃうの

あの子もあの子もってさ



…それは

男はいつまでも

可愛いだけじゃやっていけないからじゃない?



さいごに会ったのは灯台だってね

あの子は和やかに笑って次の日、別の友達を待っていたってね

もう一人あの子は君に背を向けて一目散に逃げて行ったってね

今日も灯台へいくのかい

あの子もあの子も

もういない灯台へ

更新日:2010-03-28 01:05:27

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