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その夜、絵里子は未亜が返してくれた折り鶴を握りしめて痛みに耐えた。
痛み意外のことを考えられるようになると、真っ先にかなえのことが気になった。
隣のベッドはまだ空っぽのままであった。
看護婦に聞いても要領を得ない答えであった。

やがて鎮痛剤は痛みを負かし、絵里子を眠りの世界へと押し出した。
明け方ぱっと目覚めた絵里子はかなえが隣に横たわっているのを見て思わず声をかけた。

「かなえさん、良かった。帰っていらしたのね」
眠っていると思ったかなえは絵里子の方に顔を向けた。
「主人にね、お前はまだ来ないでよいと送り返されたのよ」
かなえはいつものように穏やかに微笑んでいた。






更新日:2010-03-05 09:53:45

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