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小遣い稼ぎで始めたパートをしている時が、今では一番楽になれる時になっていた。

「長女の受験はもうすぐだし、もう忘れなきゃ……」

酷い別れをしても、彼を憎めなかった。むしろ逢いたくて仕方ない…


一方、店長の小沢と付き合っている古都子もまた浮かない顔をしていた。

お互いの顔を見て、何となくの暗黙の了解のように、2人は仕事終わりにファミレスへ行った。


………古都子の浮かない原因は、小沢の[結婚]を知らされたことだった。

彼女ができたことは知ってはいたものの、まさか結婚するとは思わなかった古都子は涙を流した。

「あたし…それでも好きなの。何でこんななっちゃったのかな…」

香奈恵は、一時期は古都子に嫉妬ばかりだったが…
今は気持ちがわかりすぎ…香奈恵もつらくなった。


「女って、男に惚れたら負けだよね…」
香奈恵がつぶやく。
「…うん……」


2人の恋に破れた主婦たちが、ファミレスで涙。

周りからしたら謎の光景だ…

でも本人たちには、悲恋のなかの姫君の状態なのだ。


…一度軽く足を踏み入れて、泥沼に足を絡めとられてしまった。

もう彼女たちは、泥沼から出られないだろう………

更新日:2010-03-04 02:42:58

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